受賞企業に聞く「がんアライアワード受賞」の効果 - がんアライ部
がんアライ部では2018年に第1回がんアライアワードを行い、20社が「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」の各賞を受賞しました。今年も第2回がんアライアワードのエントリーを開始していますが、エントリーを検討したり社内の稟議を通したりする上で気になるのが、「アワード受賞によってどのようなメリットがあるのか」ではないでしょうか。
そこで、がんアライアワードの受賞をどのように社内・社外の広報に活用しているのか、また、それによってどのような効果があったのか、昨年の受賞企業に聞いてみました。「社員の健康意識の向上や心理的安心感につながった」「取材を受けた」など、さまざまな声が届いています!
がんの取り組みを社員に知ってもらうきっかけになった/三井化学
・社外に対してはプレスリリースで、社内に対しては社内報電子版でアワード受賞を紹介しました。
・がん治療をしながら就業するためのいろいろな制度を用意していることを知らなかったという社員から、「自社の取り組みを知るきっかけになった」という感想をもらいました。
・「うちって意外といい会社なんだね」と、日頃はなかなか感じられない自社の良さに気づいたという声もありました。
取材や登壇の機会が増え、新たな縁につながった/エーピーコミュニケーションズ
・受賞の効果は大きく、取材や登壇のお声掛けを複数いただきました。取材や登壇をきっかけに新たなご縁がつながっているので、今回の受賞に感謝すると共に、今後も頂戴したご縁を大切にしていければと思っています。
・社員ならびに社員の家族ががんに罹患したり、罹患の疑いがある時に、相談や声をかけられるケースが出てきています。特にがんに罹患した経験がある副社長の永江に対しては、相談というよりも、話をしたい、聞いてほしいといった、不安を感じたときに声をかけられる存在として認知されてきているように感じています。
・社員の健康に関する関心も徐々にですが高まりつつあり、健康診断の検診項目(オプション)についての質問をもらうようなってきました。がん検診に関する冊子を配布したり、社外講師を招いた「がん・生活習慣病」に関する勉強会の実施を予定したりと、関心の高まりに対して応えていくよう取り組んでいます。
>>エーピーコミュニケーションズの「がんと就労」施策はこちら【ゴールド受賞】
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NHKで報道され、社外の評価が高まった/ガデリウス・ホールディング
・ アワード受賞を自社HP と社内グループウェアで周知したほか、年末の社長による事業所訪問時に人事の取り組みとして紹介されました。
・自社の取り組みが評価されたことにより、会社に対する愛着心がさらに増したという社員の声がありました。
・アワード受賞によって、がんへの取り組みについてNHKから取材を受け、報道を見た複数の社外の方からご評価をいただきました。
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会議室にがんアライ宣言の写真とエントリーシートを展示/エグゼクティブ
・社内会議室にある本棚のメディア掲載コーナーにがんアライ宣言の写真とエントリーシートを展示し、社員の目にいつでも触れられるようにしています。
・当社広報サイト内にて掲載し、企業公式SNSアカウント(Facebook、Tumblr)にて公開
・家族の看病が必要な時期などに、欠勤ではなく働ける時間帯に在宅勤務へ切り替える社員が増えました。
・今期は働く環境作りをさらに展開させながら、取り組みを進めています。「どんな状況でも働いていける」ということを改めて言わなくても、そのことが当たり前であるように、一人一人違う、多様な働き方がごく当たり前な環境作りを、社員と共により進めていきたいと思います。
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イントラサイトで体験談を紹介してくれるがんサバイバーの社員が増加/野村證券
・がんアライ宣言と共に受賞の旨を社内イントラサイトのニュースと「治療と仕事の両立」の箇所に掲載し、全社員向けメールマガジンや社員向けがんイベントでも紹介しました。社内のがんに対する興味や意識が向上している実感があります。
・社外向けには、野村グループHPのCSR「治療と仕事の両立支援」とCSRニュースに掲載しました。
・今年度の健康経営の施策(NOMURA健康経営2019)の柱に「がん対策」を新規に追加しました。
・社員の体験談を「キラッとNOMURA Life」としてイントラサイトで紹介していますが、そこに記事を寄せてくれるがんサバイバーの社員が増えました。
社員の誇りにつながった/コロプラスト
ゴールド受賞に関し、一番反響があり、また嬉しかったのは、社員やマネジャーからのコメントや反応です。これまで社員の皆さんがより安心して生き生きと活躍できるよう、制度や環境作りに取り組んできており、受賞の喜びを一緒に分かち合えたことは本当に嬉しい限りです。以下、社員からの声です。
・コロプラスト製品をお使いくださるお客さまにはがんを経験されている方が非常に多いため、お客さまから「コロプラスト自身はどうなの?社員ががんになった時の制度はあるの?」と聞かれることがあります。そんな時、社外向けに発信している「So you can be you (疾患や様々なニーズを抱えていても、自分らしく)」というメッセージと、社内制度に統一性があることは誇らしいと改めて感じます。」
・誰しもがんになる可能性がありますので、今回のような取り組みをしてもらえると安心して働けます。また、ゴールド受賞の顔ぶれを見ると、日本を代表する企業も多くあり、誇らしい気持ちになります。
・社外研修で親しくなった友人達から、外資系企業として質問をされることがあります。がんのサポートについて話すと「外資系はドライなイメージだったけど、進んでいる」という反応がありました。
・友人にがんアライ部について話したところ、「外資系は進んでいる」という反応でした。特に北欧企業ということで、良いものをどんどん取り入れていく印象を持ってもらえたようです。このようなことを伝える機会があると誇らしい気持ちになります。
・実は会社の取り組みについて知りませんでしたが、改めて「コロプラストは働きやすい環境のある会社だな」と感じました。
・受賞を機に、過去の取り組みやエピソード等を改めて確認しました。率直に素晴らしい企業だと感じると共に、毎年当たり前のように受診していた健康診断や、ワークライフバランスを目指した日々の取り組みが、当たり前ではなく、さらに良い風土を作り上げようとしている活動だと実感出来ました。いつも本当にありがとうございます。
これまでゴールド受賞について、社外の宣伝等には活用してきませんでしたが、今後は医療従事者をはじめとした社外向けセミナーでもご紹介し、コロプラストの姿勢について改めて知っていただくと同時に、日本全体にがんアライの取り組みを広げていきたいと考えています。
>>コロプラストの「がんと就労」施策はこちら【ゴールド受賞】
他社から取り組みついて問い合わせがあった/クレディセゾン
・当社HPとWEB社内報にて掲載し、受賞の旨を告知しました。
・アワード受賞によって、他社から弊社の取り組みついての問い合わせを受けました。 ・会社として、がんについて積極的に取り組みをしていることをより社員へ周知し、理解が深まればと思います。
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乳がんの宣告を受けてもあまり不安はなかった/日本オラクル
日本オラクルのコーポレート・シチズンシップ、川向緑さんはこの4月にご自身が乳がんを体験。手術を経て退院し、自宅勤務中の今の想いを寄せてくれました。(以下、川向さんのメールより転載)
がんアライ部、もしくはアワード受賞の影響…というわけでもないのですが、私自身がこの4月に乳がんのステージ1との宣告を受け、先週入院及び手術をして参りました。
乳がんの自己診断をより理解するためにNPO「Run for the Cure」をお呼びしてのワークショップを行なったり、乳がんサバイバーの女性起業家をお呼びしてのセミナーを開催したりして、身近に乳がんや元気に活動する乳がんサバイバーを見ていたので宣告を受けてもあまり不安がありませんでした。
また、私自身が自分と違う背景や価値観の人と働く際に一番の理解促進になったのは、当事者のカミングアウトでしたので、今回の件をいい機会ととらえ、私の病状を社内外にオープンにして働くことを決めました。
今回、特にがんに特化した制度や仕組みを活用しておりませんが、上司や周りの理解に支えられて、問題なく業務を遂行できそうな感じがしています。手術当日にはチームを超えたいろんなメンバーがピンク色の何かを身に着けて働いてくれました。ピンク色のものを持っていない人は、がんアライ部のシールを荷物の何処かに貼って応援してくれました。
まだ自宅からの勤務で、出社はできていないのですが、退院報告をしたら、嬉しいメッセージをもらいました。
「みどりさん 退院おめでとう! みどりさん、すごいよ。みどりさんの投げかけで、何かがみんなの中にすごく変わった感じ。 上手く表現できなくて申し訳ないんだけど、暖かさとかつながりとか思いやりとか そういった類の雰囲気が生まれてるよ。また、ここから何か始まる気がする。 実は、慌てて報告しなくてもいいか、と我慢してたけど、しきれなかったー笑」
自分の弱さと向き合い、その弱さを相手と共有するときに「強さ」が生まれるのは不思議だなと感じます。がんに罹患しても、どんな障害や病気があっても、人は つながることでより良いコミュニティを構築し、より良い企業風土を作っていけるのではないかと感じます。
>>日本オラクルの「がんと就労」施策はこちら【シルバー受賞】
社内外の交流の機会が広がった/日立システムズ
・社内に対してはメールマガジンで、社外向けには「お知らせ」として受賞のことを周知したことにより、がん治療中である社内の従業員や職場メンバーから問合せがあり、個別にお話しをうかがったり、がんアライ部活動に参加いただいたりと、社内ネットワークが広がりました。
2018年11月には、受賞企業3社と合同で「取り組み事例発表と情報交換会」を開催し、社内外から多くの方にご参加いただき、がんと就労に関する取り組みへの理解を深めていただくことができました。 また、社外向けに広報したことで、ヒアリング要請を受けたり、メディアに取り上げていただいたりする機会が増え、社外交流や情報交換の機会が広がりました。
・お客さまに向けても、「働き方改革ソリューションフェア(19年2月開催)」等の講演の機会を利用して、 社内取り組みとして、がんアライ部受賞の件を紹介しています。
・がんと就労に関する取り組み成果として、がん検診受診率が年々向上しています。
>>日立システムズの「がんと就労」施策はこちら【ゴールド受賞】
「がんに罹患しても働き続けられる会社」という安心感につながる/GRCS
・アワードに関して、弊社Webサイトのブログにて記事を掲載しました。 また、社内の全体ミーティングでもがんアライ宣言及びアワードについて紹介をしております。
・アワード受賞の直接的な効果は現状ありませんが、がんに罹患しても働き続ける環境がある会社として安心感をもっていただけるものと考えております。今後新しく入社する社員に対してもそのような認識をもっていただけるよう、継続して周知していくことでいずれ効果が出てくるかと思います。
がん経験者の社内コミュニティ発足につながった/サッポロビール
・社内イントラネットにアワードのゴールド受賞の旨を掲載しました。
・社外リリースを発信しました。
・社外で自社のがんと仕事の両立支援の取組みを紹介する際、プレゼン資料に掲載しています。
・サッポログループのコミュニケーションブックにも掲載しました(P32参照)。
・がんアライ宣言を具現化すべく、がん経験者の社内コミュニティ「Can Stars」発足にもつなげました。
・社内での治療と仕事の両立支援策の推進に弾みがつきました。
・「人を大切にする企業」としての対外的なイメージ向上にも寄与したと実感しています。結果として、社員も自社がよい会社であると改めて感じ、誇りも持てたように思います。
>>サッポロビールの「がんと就労」施策はこちら【ゴールド受賞】
がんアライアワード募集中です!
がんアライアワードとは、がんを治療しながら働く人を応援する団体を表彰するもの。がんに特化した取り組みがなくても、ご応募いただけます。たとえば「柔軟に休みがとれる風土がある」「健康面の不安を気軽に相談できる窓口や環境がある」といった内容でも、十分です。
がんアライ部では「がんを治療しながら働けるように工夫していく姿勢」が大切であることを、世の中に発信していくことが重要だと考えています。がんアライアワードがそのきっかけ作りになれればと思います。
「まだがんアライアワードにエントリーするほどではない」という場合は、まずは「がんアライ宣言」から始めてみませんか?
がんアライ宣言は、自社が、がん罹患者の味方「アライ(ally)」であること、「がんとともに働き続けられる場所」であることを、働く従業員の方と世の中に宣言するもの。すでに取り組みを進めている団体はもちろん、これから取り組みたいとお考えの方からの決意表明も大歓迎です!
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