【がんアライアワード2019 シルバー】株式会社富士通ゼネラルの「がんと就労」施策 - がんアライ部
がんアライアワード2019に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。
シルバー受賞:株式会社富士通ゼネラル
業種: 電気機器
従業員数: 単独:1,658名(2019年3月現在)
取り組みのきっかけやエピソード
・自分が乳がんを体験し、最初はステージが低く手術で終わったものの、30代で親族の既往歴もなく、食生活等にも気をつけていたのに、4年後に肺と肝臓に転移をした。抗がん剤治療を点滴で受けた際に、健康保険の高額医療の限度額を受けても、通院治療で月10万円以上かかり、かつ子どもにどのように伝えれば正しい理解をしてもらえるかを苦労した。よって、罹患してから焦るのではなく、事前の知識があるだけで精神的にもだいぶ違うと考えたので、企画をした。
・がんのイメージがまだまだ不治の病で、やせて就業しにくいイメージが残っており、がんの種類によっては薬の影響で太る人やむくむ人もいるなど、正しい知識を定着させることが課題である。そしてがんになっても評価に影響をしないなどオープンな職場風土を築いていくことが今後必要と考えている。実際に管理職や一般職でも罹患者は何人かいるが、まだまだ産業保健スタッフにも告知しない社員が多い。片や男性管理職で罹患した際の病院選定で、開発職ゆえにこのメーカーの器具を使っている病院なら信用できる、などこちらが想定していない着眼点のエピソードがいくつかあったので、そういった同じ会社の社員のエピソードを共有できるセミナーや情報発信をしていきたい。
風土づくり
◆2018年度から管理職向けにNPO法人CAN-netさんの研修を3回実施し、部下ががんになった際にどういう対応をすべきかや、現在のがん治療について、本人が懸念するキャリアについてなどを内容として実施した。その際にがんは治る病気であり、治療をしながら仕事をすることが可能な病気であることを伝える教育を行った。そのアンケートで管理職から一般職向けにも実施をしたほうがいいという声が多かったため、2019年度は10月から数回にわたり、がんを正しく知ってもらい、(原因は特になく、なるときはなるんだということ)や、罹患しても後ろ向きにさせない、そして治療にかかるお金の話など、病気に蓋をせず、向き合う力をつけてもらう。また一般社員全員対象とするセミナーなので、職場で同じ話をきけることは恵まれていることであることと、家族にどのように(特にお子さんに)伝えるかを学んでもらう。
相談できる環境づくり
◆当社は産業保健スタッフが疾患者に関わらず、全員面談を数年かけて実施をしているため、内部医療職にて相談をうけ、上司と就業について連携する体制を設けている。よって最終的には産業医が主治医と連携して配慮を確認し、人事が対応して働き方を提案している。
制度
◆健康診断時に健康保険組合の補助で、がん検診の数種類を選択できるようにしている。また、人事制度については、有給休暇以外に積立休暇という制度で休暇取得が可能であり、またフレックス制度では、疾患を理由で必要により、取得が可能としている。休暇後の復職については、特に長期休暇者は、休み中も定期的に産業保健スタッフと面談をし、復職の懸念を払しょくする対応をしている。
講評・コメント
従業員ががんに罹患した際の社内向け教育研修や相談体制、制度面についての整備がなされており、がんに罹患したことを社内で話すことができる環境づくりを進められています。
がんへの理解を深める啓蒙・教育活動を通じた風土づくりや相談しやすい環境づくりをさらに進められることを期待しています。