【がんアライアワード2021 ゴールド】野村證券株式会社の「がんと就労」施策 - がんアライ部
がんアライアワード2021に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。
ゴールド受賞:野村證券株式会社
事業内容:証券業
従業員数:14,605人(2021年7月31日時点)
ウェブサイト:https://www.nomura.co.jp/
取り組みのきっかけやエピソード
・社員ががん等に罹患した際に必要な制度や給付に関する情報がイントラに集約されておらずわかりにくい状況だったため、「健康なとき」と「仕事と治療を両立するとき」に分類して社員が情報にアクセスしやすくしたことがきっかけ。その後、ガイドブックの作成や体験談の掲載など、両立支援の取り組みを推進している。
・2018年度から治療と仕事を両立する社員の体験談をイントラに掲載。匿名・写真なしで可としているが、体験談を読んだサバイバーから徐々に実名・写真入りでの掲載希望が増えている。
・治療と仕事の体験談の最後に「両立支援サポーター」である保健師がコメントを入れているため、がんに限らずさまざまな病気で両立をせざるを得なくなった社員や上司から保健師への相談が増えている。草の根的ではあるが、徐々に周知されていることを実感している。
・また、体験談を掲載した社員へ個別に相談したり、体験談を読んでがん検診の重要性を認識した社員が体験談を社内に拡散するなど、社員発の動きが増えてきている。
・今回も昨年に引き続き新型コロナウイルス感染予防と社内でのがんアライ宣言の認知度を上げるため、がんアライ宣言の写真をイントラサイトにて募集し、各自写真を撮って送付してもらった。また、野村證券のみならず、野村グループ各社の社員からも応募があり、それをきっかけにグループ各社がアワードに参加することにつながった。
風土づくり
◆会社の方針
・がんなどの治療と仕事の両立支援のため2018年4月に「NOMURAの健康サポートプラン」を策定。会社として治療と仕事の両立の支援について社内に情報発信している。
◆リテラシー向上や社内の理解浸透
・社員と上司向けの「治療と仕事の両立支援ガイドブック(本人編、上司編)」を作成し、がんなどの病気により治療を続けながら仕事をする社員が安心して仕事と治療を継続することができるよう、本人のみならず上司の対応方法なども周知している。
・なお、ガイドブックを作成したいが時間などの制約により難しい会社が簡単に作成できるよう、がんアライ部にハンドブックのフォーマット作成を提案。数回のワークショップを経てハンドブックの完成につながった。
・治療と仕事を両立している社員の体験談を「キラッとNOMURA Life~私の体験談~」として社内イントラに掲載。これまでに11名の体験談を掲載し、体験談を読んだ社員から本人へ自身や家族のがんについての相談もあり、社員同士のつながりもできている。
・がんなどの理解を深めるための啓発活動として、以下の取り組みを実施。
毎月社内で制作している健康番組(動画)において、2020年度は3回シリーズの「がん特集」を配信。2021年度は「がん検診後の精密検査」について取り上げ、2019年度より健保組合が開始した精密検査受診勧奨の状況を共有するとともに、早期発見・早期治療の大切さについて改めて訴えた。
2020年度より20代女性にも子宮頸がん検診を実施。本人たちが羞恥心等で受診を避けることがないよう、“ナッジ”を応用した教育資料を作成し、健診案内時にすべての20代女性が目を通せるようにした。
新任管理職研修において、復帰フローと両立支援ガイドブックに関する情報を提供。
・風土づくりの効果検証をするために、全社員向け調査(健康意識調査)にて社員の意識を確認。2020年度の調査では、「病気の治療を続けながら働き続ける風土があると思う」という回答が56.0 %に上り、前年比+9.8pと大幅に増加した。
相談できる環境づくり
◆定期的に社員と上司、また社員と人事がそれぞれ1対1でコミュニケーションを取る機会があり、業務に関すること以外にもキャリアやプライベートに関することを相談することができる。
◆社員の健康に関する社内相談窓口を用意
・健康相談室:社内の産業医・保健師・看護師・管理栄養士が連携して、がん等に罹患した社員がより快適に働けるようさまざまな相談にのっている
・両立支援サポーター:治療と仕事の両立について専門に学んだ保健師が主治医と連携しながらがん等に罹患した社員をサポートしている
・カウンセリングルーム:臨床心理士ががん等に罹患した後のキャリア等に関する相談にのっている
・人事:労働者健康安全機構の「両立支援コーディネーター基礎研修」を受講した人事担当者が社内制度や健康保険組合の給付に関することなど社員からの相談全般にのっている
◆治療と仕事を両立している社員の体験談に投稿した一部の社員が連絡先を開示し、サバイバー自らが社員からの相談を受ける環境がある。
制度・配慮
◆健康増進
・禁煙対策として、2021年10月より就業時間内禁煙を導入。同時に健康保険組合が実施しているオンライン禁煙プログラム費用の全額補助や、禁煙に成功した社員へポイントインセンティブを付与するサポートを実施。社内喫煙所は2021年12月末を以てすべて廃止の予定。
・女性の健康をテーマとした女性産業医による健康教育とコミュニケーションの場をランチタイムに設けている。参加者からも好評で、子宮頸がんについても理解が広がったという感想を得ている。
・社員の健康増進のため、2017年度より「NOMURA健康チャレンジ(ノム☆チャレ)」を実施。部署ごとに健康に関する取り組みをしてその様子を健康プラットフォーム「WellGo」に投稿し、よい取り組みをした部署にはCHO賞を贈呈している。
2020年度は社内バーチャルウォーキングイベント「ノム☆チャレWALK」を開催し、全参加者の毎日の平均歩数の合計に応じた金額を「新型コロナウイルス感染症:拡大防止活動基金」へ寄付した。イベント開始前後の全社員の平均歩数も1日あたり約800歩増加し、ウォーキングへのモチベーションや「寄付するために歩こう!」という意識が高まった。
◆予防・早期発見
・30歳以上の社員は原則無料で人間ドックを受診することが可能。女性の場合は、乳がん・子宮がん検診も無料で受けることができ、2020年度より20代女性にも子宮頸がん検診を拡大。なお、健保とのコラボヘルスの一環として、人間ドック早期受診者にはポイントを付与するインセンティブ制度を導入しており、継続受診・受診率向上に努めている。
・人間ドック受診時には有給の「人間ドック休暇」を利用可能
・定期健康診断/人間ドックの受診後に二次検査が必要になった社員へ受診勧奨を実施。また、がん検診項目で要精密検査となった社員へは健康保険組合とのコラボヘルスにより受診勧奨を実施しており、それぞれ二次検査・精密検査受診時は、有給の二次検査休暇を利用可能。
◆罹患後
・半日・時間単位の年次有給休暇、傷病休暇、復職後の医師の診断に基づく短時間勤務。
・健保組合の高額療養費制度により、医療費の自己負担額が約25,000円/月に抑えられるため、経済的な心配をせずに治療に専念できる。
・欠勤した社員に対して、休みに入った段階で療養と復帰に関する情報提供を行っている。復帰前には、会社が指定する書類(勤務情報提供書、主治医の就業に関する意見書、生活記録表など)を準備しながら、本人や職場における復帰準備を促し、必要な場合は産業医面談を行い復帰後の業務によって体調が悪化しないよう体制を整えている。
講評・コメント
・2021年10月より就業時間内禁煙を導入し、健康保険組合実施のオンライン禁煙プログラム費用の全額補助継続や、禁煙成功した社員へポイントインセンティブを付与されるなど、先進的な取り組みを進めています。
・がんアライ宣言を通じて、自社の取り組みへの認知度向上にとどまらず、グループ会社も巻き込み、がんアライの輪を広げられています。
・自社のハンドブックを活用して他社・社会に貢献ができないかと提案されるなど、社会に目を向けた活動を実施されていることも素晴らしいです。