【がんアライアワード2022シルバー】ガスパルグループの「がんと就労」施策 - がんアライ部
がんアライアワード2022に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。
シルバー受賞:ガスパルグループ
業種: 燃料小売業
従業員数: 1,039名(10月1日時点 グループ計)
取り組みのきっかけ
経営理念に「全従業員の働きがいを追求し、保安を極め、豊かな社会の実現に貢献する」とあるように、もともと人を大切にする社風がある。
大東建託グループ全体で健康経営宣言を制定し、ガスパルグループでも健康経営宣言を制定し、健康経営のさらなる推進を図っている。
当社は、社員の年齢層が若く、がんを身近に感じる場面は少ない状況がある。一方で、定年を迎え再雇用となった高齢の社員が増えている現状もある。将来に備え、がんに罹患してもサポートを得られるよう制度を整え、社員が安心して働ける仕組みを作る必要性を感じ、取り組みを実施している。
風土づくり
◆風土づくり
両立支援についての掲示板を作成し、「仕事と治療の両立支援ガイドブック」を掲示している。
ガイドブックでは、社内制度や社外相談窓口の紹介だけでなく、プライバシーの配慮や会社へ情報を開示するメリット等を記載しており、社員が安心して就労を継続できる仕組みを開示している。
◆教育
衛生委員会で「がん」をテーマとした健康教育を実施したり、女性特有のがんについて、健康アプリでのeラーニングを提供したりしている。
◆がん検診
定期健康診断にがん検診を組み込み、受診しやすい環境を整えている。
また、健診は就業時間内での受診を認めており、確実な受診が実施できている(受診率 100%)。
相談できる環境づくり
◆相談できる環境
これまでは、職場や人事が中心となり社員の健康管理や対応をおこなっていたが、2021年4月から人事部内に労働衛生を担当する部署として、『保健室』を設置している。
保健室という相談窓口を設けたことで、社員が気軽に相談でき、専門性の高い対応が可能となっている。さらに、産業医や人事・職場と連携を図り、個別のケースに応じた対応を検討している。
また、管理職研修においては、テーマの一つとして「保健室との連携や各種制度について」取り上げており、「何かあったら保健室へつなげる」ことを周知している。
がんに限らず、社員の健康管理については保健室に相談するという風土ができつつある。
◆外部医療従事者と相談する環境
必要に応じて、産業医から「診療情報提供書」を主治医へ依頼し、個別に応じた就業配慮を行う仕組みが出来ている。
制度
◆早期発見するための取り組み
がん検診を定期健康診断に組み込むなど、受診しやすい体制を整えている。
また、定期健康診断に組み込むことで、産業保健スタッフが結果を把握することが可能となり、精査や受診が必要なケースが生じた場合は、受診勧奨・受診結果の確認を実施している。
◆制度
復職時は、産業保健スタッフが復職面談を行い、体調を確認し、必要な就業配慮の検討を行っている。
また、就業配慮が必要となる場合は「意見書」を発行し、職場との連携を図っている。
制度としては、サポート有給休暇(使わなかった有給休暇を積み立て、療養等の際に使える制度)があり、がん治療を想定し、1日単位で取得できるようになっている。
また、金銭面のサポート制度としては、GLTD保険や傷病見舞金、入院見舞金の制度が利用できる仕組みを整えている。
その他の取り組みやエピソード
◆社員のキャリア支援
業務や職場環境、自身の健康管理の方法など社員の「キャリア」についてキャリアカウンセラーによる面談を実施している。がんに関わらず育児・出産など自身のライフプランに応じてキャリア形成を行っていくためのサポートを行っている。
◆エピソード
・過去の事例では、制度として整っていない中で、個別の体調や治療状況に応じた配慮を行った実績がある。具体的には、時短勤務やサポート有給休暇といった勤務時間の調整などの配慮を行っていた。この事例の社員は、現在も就労継続が出来ている。
・がんに罹患した際、体調を考慮し、配置転換や業務負荷を下げる配慮を行い、入院手術に際してはサポート有給休暇を使用した。この事例の社員は、現在も就労継続が出来ている。
抱負
社内制度については、整備されつつあるが、社員への認知度が低い状況にある。
会社が両立支援を積極的にサポートしていく姿勢を、まずは社内へ周知していく取り組み(がんアライ宣言についての周知発信や経営層によるメッセージ発信等)を進め、サポートを必要とする社員が適切な支援を受けられることを目指していきたい。
あわせて、全社員が安心して働ける職場環境を作っていきたい。
講評・コメント
・人事部内に労働衛生を担当する部署として、『保健室』を設置し社員が気軽に相談でき、専門性の高い対応を実現し、健康管理については保健室に相談するという風土づくりが進められています。
・「がんと就労」に関する取り組みが社内に浸透し、さらに組織の文化風土が醸成されることを期待しています。