がんアライアワード受賞企業の取り組み事例

   

【がんアライアワード2022 ゴールド】野村證券株式会社の「がんと就労」施策 - がんアライ部

【がんアライアワード2022 ゴールド】野村證券株式会社の「がんと就労」施策 - がんアライ部

がんアライアワード2022に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。

 

ゴールド受賞:野村證券株式会社

業種: 証券業

従業員数: 14,148名(2022年3月末現在)

https://www.nomura.co.jp/

取り組みのきっかけ

 

社員ががん等に罹患した際に必要な制度や給付に関する情報がイントラに集約されておらずわかりにくい状況だったため、「健康なとき」と「仕事と治療を両立するとき」に分類して社員が情報にアクセスしやすくしたことがきっかけ。その後、ガイドブックの作成や体験談の掲載など、両立支援の取り組みを推進している。

 

風土づくり

 

◆会社の方針

・がんなどの治療と仕事の両立支援のため2018年4月に「NOMURAの健康サポートプラン」を策定。会社として治療と仕事の両立の支援について社内に情報発信している。

 

◆リテラシー向上や社内の理解浸透

・社員と上司向けの「治療と仕事の両立支援ガイドブック(本人編、上司編)」を作成し、がんなどの病気により治療を続けながら仕事をする社員が安心して仕事と治療を継続することができるよう、本人のみならず上司の対応方法なども周知している。

 

なお、ガイドブックを作成したいが時間などの制約により難しい会社が簡単に作成できるよう、がんアライ部にハンドブックのフォーマット作成を提案。数回のワークショップを経てハンドブックの完成につながった。

 

・治療と仕事を両立している社員の体験談を「キラッとNOMURA Life~私の体験談~」として社内イントラに掲載。これまでに12名の体験談を掲載し、体験談を読んだ社員から本人へ自身や家族のがんについての相談もあり、社員同士のつながりもできている。

 

・がんなどの理解を深めるための啓発活動として、以下の取り組みを実施。

 

  • 毎月社内で制作している健康番組(動画)において、「がん検診後の精密検査」について取り上げ、2019年度より健保組合が開始した精密検査受診勧奨の状況を共有するとともに、早期発見・早期治療の大切さについて改めて訴えた。
  • 全社員向けに医療職が月に一度配信している「健康相談室たより」において、二次検査の重要性や喫煙のリスクについて啓発
  • 2020年度より20代女性にも子宮頸がん検診を実施。ただ20代女性の受診率が他の年代と比較して10%以上低い状況だったため、がん検診受診に関するアンケートを実施し、衛生委員会でも討議。受診しない理由として検査に伴う苦痛に対する恐怖があることがわかったため、イントラサイトに検査受診のポイントや精密検査を指摘された場合のその後の流れについて掲載。
  • 新任管理職研修において、復帰フローと両立支援ガイドブックに関する情報を提供。

 

・風土づくりの効果検証をするために、全社員向け調査(健康意識調査)にて社員の意識を確認。2021年度は「病気の治療を続けながら働き続ける風土があると思う」という回答が63.0 %に上り、調査開始から16.8%上昇した。

 

相談できる環境づくり

 

◆定期的に社員と上司、また社員と人事がそれぞれ1対1でコミュニケーションを取る機会があり、業務に関すること以外にもキャリアやプライベートに関することを相談することができる。

 

また、全社員を対象に「心理的安全性」に関する研修を行い、誰もが気兼ねなく自分の状況や意見を言える職場づくりを推進している。

 

◆社員と上司向けの「治療と仕事の両立支援ガイドブック(本人編、上司編)」を社内イントラネットへ掲載し、いつでも確認できる環境になっている。

 

◆社員の健康に関する社内相談窓口を用意

  • 健康相談室:社内の産業医・保健師・看護師・管理栄養士が連携して、がん等に罹患した社員がより快適に働けるようさまざまな相談にのっている
  • 両立支援サポーター:治療と仕事の両立について専門に学んだ保健師が主治医と連携しながらがん等に罹患した社員をサポートしている
  • カウンセリングルーム:臨床心理士ががん等に罹患した後のキャリア等に関する相談にのっている
  • 健康保険組合:セカンドオピニオンや専門医療機関への紹介・受診手配のサービスを提供している
  • 人事:労働者健康安全機構の「両立支援コーディネーター基礎研修」を受講した人事担当者が社内制度や健康保険組合の給付に関することなど社員からの相談全般にのっている

 

制度

 

◆健康増進

・望まない受動喫煙の防止と社員の疾病予防のため2021年10月より就業時間内禁煙を導入。

 

同時に健康保険組合が実施しているオンライン禁煙プログラム費用の全額補助の継続や、禁煙に成功した社員へポイントインセンティブを付与するサポートを実施。社内喫煙所は2021年12月末を以てすべて廃止した。

 

・女性の健康促進のため、男女含めた全社員を対象に「女性の健康研修」を実施。

 

弊社CHOと高尾美穂産婦人科医の対談や、高尾医師による管理職向けや女性特有の病気に関する解説動画を配信。また女性の健康をテーマとした女性産業医による健康教育とコミュニケーションの場をランチタイムに設けている。

 

・社員の健康増進のため、部署ごとの平均歩数を競うオンラインのウォーキングイベント「ノム☆チャレWALK」を毎年実施。

 

歩数や写真を全社員で共有し、「いいね!」やコメントの投稿で応援し合うことで、社員のコミュニケーション向上やコロナ禍での密を避けながらの運動習慣の定着につなげている。同時に参加者の平均歩数に応じた金額の寄付を行っており、2021年度は「国境なき医師団」に寄付。社員個人への健康増進のみならず、寄付という形での社会貢献につなげている。

 

◆予防・早期発見

・30歳以上の社員は原則無料で人間ドックを受診することが可能。女性の場合は、乳がん・子宮がん検診も無料で受けることができ、2020年度より20代女性にも子宮頸がん検診を拡大。

 

なお、健保とのコラボヘルスの一環として、人間ドック早期受診者にはポイントを付与するインセンティブ制度を導入しており、継続受診・受診率向上につながっている。

 

・人間ドック受診時には有給の「人間ドック休暇」を利用可能

 

・定期健康診断/人間ドックの受診後に二次検査が必要になった社員へ受診勧奨を実施。また、がん検診項目で要精密検査となった社員へは健康保険組合とのコラボヘルスにより受診勧奨を実施しており、それぞれ二次検査・精密検査受診時は、有給の二次検査休暇を利用可能。

 

◆罹患後

・半日・時間単位の年次有給休暇、傷病休暇、復職後の医師の診断に基づく短時間勤務。

 

・健保組合の高額療養費制度により、医療費の自己負担額が約25,000円/月に抑えられるため、経済的な心配をせずに治療に専念できる。

 

・欠勤した社員と上司に対して、休みに入った段階で療養と復帰に関する情報提供を行っている。復帰前には、会社が指定する書類(勤務情報提供書、主治医の就業に関する意見書、生活記録表など)を準備しながら、本人や職場における復帰準備を促し、必要な場合は産業医面談を行い復帰後の業務によって体調が悪化しないよう体制を整えている。書類は社員の意見を取り入れながら改訂を加え、より使いやすいものになるよう改善している。

  

その他の取り組みやエピソード

 

◆2018年度から治療と仕事を両立する社員の体験談をイントラに掲載。匿名・写真なしで可としているが、体験談を読んだサバイバーから徐々に実名・写真入りでの掲載希望が増えている。また、体験談を掲載した社員へ個別に相談したり、体験談を読んでがん検診の重要性を認識した社員が体験談を社内に拡散するなど、社員発の動きが増えてきている。

 

◆治療と仕事の体験談の最後に「両立支援サポーター」である保健師がコメントを入れているため、がんに限らずさまざまな病気で両立をせざるを得なくなった社員や上司から保健師への相談が増えている。社員からも「自分はがん罹患者ではないが、こういった取り組みは素晴らしいし、是非今後も続けて欲しい」といったコメントが集まっている。

 

◆今回もがんアライ宣言の写真を社内に募集したところ、がんに罹患した支店長の声かけにより支店全体でがんアライ宣言の写真を撮影してくれた。がんアライの風土が草の根的に広がってきていると実感している。

 

抱負

 

・がんに罹患した社員が復帰する際に、会社と主治医との連携が十分にできるサポートを検討したい。

 

・短期間で手術等を終えた社員に対するサポートが十分ではないため、社員に対してニーズ調査を行い、対策を検討したい。

 

・地域との連携の必要性やその対策の検討

 

・心理的安全性のある環境の中で、がんと付き合うことになったとしても、いきいきと働くことのできる組織づくりを今後も目指していきたいです!

 

講評・コメント

 

・がん検診受診に関するアンケートを実施し、イントラサイトに検査受診のポイントや精密検査を指摘された場合のその後の流れについて掲載など受診率UPの取り組みをされています。

 

・全社員向け調査(健康意識調査)にて「病気の治療を続けながら働き続ける風土があると思う」という回答上昇など、取り組みの進化を止めない姿勢が素晴らしいです。

 

・アライ宣言を通じて、アライの輪が更に広げられています。

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