【がんアライアワード2023シルバー】ライフネット生命保険株式会社の「がんと就労」施策 - がんアライ部
がんアライアワード2023に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。
シルバー受賞:ライフネット生命保険株式会社
業種:生命保険業
従業員数:208 名(2023 年 3 月末)
働く人を支える制度・ 体制
【1】がんと就労に関して、あるいは社員の健康や安全に関する基本方針等の表明
■健康経営宣言
心身ともに最高のコンディションで業務に取り組むための健康づくりを推進し、いきいきと働き、笑顔のあふれる会社を目指すために、健康管理の充実、健康増進活動の推進、働き方改革の取り組みを推進することを宣言。
■がんアライ宣言
がんアライ部にてがんアライ宣言の受付をはじめたタイミングにあわせて宣言。内容は「私たちは、一人ひとりの生き方を応援します。」としている。
【2】休暇制度
■ライフサポート休暇
-ナイチンゲール休暇・・・看護休暇(3 日)
-ナイチンゲールファンド休暇・・・繰り越すことができない未使用のナイチンゲール休暇を、会社が積み立てし、特定の疾病を理由として通常の業務の遂行ができないと当社が判断する社員に付与(上限 10 日)
-ダブルエール休暇・・・がんなど特定の私傷病により休職が適用された社員が復職した後に、治療と仕事の両立を図るための休暇(12日)
■私傷病による休職期間として、勤続期間に応じて有給休職期間の後に、無給休職期間を設けている。(規程に定められた期間は有休休職期間1〜4ヶ月、無休休職期間4〜14ヶ月)
■半日単位の有給休暇取得
■勤続 3 年毎の連続休暇(5日連続×2回)付与
【3】勤務制度
■フレックス制度
一部社員を除き、コアタイム 10:00~15:00 のフレックスタイム制を導入
■在宅勤務制度
個人のパフォーマンスを最大化させる手法として、働く場所を個人が選択できる
■試し出勤制度
復職前に一定期間オフィスに出勤して、継続的に出社できる状態かどうかを本人と会社の双方で確認しあう
■育児・介護短時間勤務等に関する取扱いを個別に行っている
■多様な働き方
日数や時間を限定させた働き方、フルリモートでの勤務を認めた働き方、複業の応援など、様々な働き方を認めている
【4】支援体制
■相談窓口
健康に関する相談ができる相手として、人事総務部の担当者を全社周知。その他、健康保険組合3箇所(健康相談ほっとライン,専門医療ほっとライン,メンタルヘルスカウンセリング)、健康管理システム(保健師等の専門家に相談可能)の利用も可能。
■来風面談
上司と月1回、業務に限らない内容も含めて、本人が話したい事が話せる場として、1on1 の MTGの場を設定。それに加えて、年2回程度担当役員、年1回人事担当者とも面談。複線的にコミュニケーションの場を作り、相談しやすい人に相談できる環境を整えている。
■職場復帰支援
復帰に向けたプランの策定、復帰後の支援は人事が本人、部門の上長、産業医等とコミュニケーションしながら、適切なタイミングで復職後の支援を行っている。
【5】健康増進支援
■定期健康診断
法定検査の他に希望者には、胃がんリスク・前立腺がん検診、35 歳以上には胃内視鏡検査、乳がん・子宮がん検診を会社負担で受診が可能(会社指定医療期間以外でも受診可能)。要検査となった社員は、人事担当者が二次健診の受診を支援。
■健康診断 100%の受診率を継続中。(再検査も会社負担で受診可能)
■健康増進イベント開催
2021 年は「お写ん歩(おしゃんぽ)グランプリ」を開催。ウォーキング数とテーマにちなんだ写真をウォーキング中に撮影しエントリーしてもらう企画で、ウォーキング数が多かった人や撮影写真の人気が高かった人を表彰。2022年は「ボッチャ」を活用した健康増進イベントを実施。
■岡部体操
週次の全社朝礼や社内 SNS において、アスリート社員(岡部氏)によるストレッチ等の動画を配信。
■健康アプリ
健康に関する情報の取得や、自身の健康診断情報のストックができる健康アプリが利用可能。
【6】その他の制度・体制
■ダブルエール手当
がんによる休職から復職した場合、治療と仕事の両立を図ることを目的として、復職日から 6 カ月間、月額 5 万円を支給
働く人を支える風土、環境
【1】啓発、研修
■ダイバーシティ研修
年に1度全社員の参加必須とし、多様性を理解する研修を行っています。テーマは毎年ダイバーシティチームや人事総務部等が検討して選定。2021 年にはがんアライ部発起人桜井さんをお招きして、がんと就労に関する勉強会を実施。その他、健康保険組合が主催する健康増進に関する各種研修・セミナーを紹介し、業務時間内に受講できるようにしている。
【2】情報発信
■情報発信
研修等の内容は社員がアクセスできるフォルダ内に資料・動画を格納し、いつでも閲覧できる状態にしている。またがんと就労に関するニュース等については、社内 SNS に有志の社員が投稿することで、気づきが得られる状態になっている。
【3】コミュニティ
なし
【4】対外的な活動
■CancerX に毎年協賛をしている
■2023 年 3 月「がんになった従業員の治療と仕事の両立支援セミナー」に企業側のパネリストとして登壇し、自社の治療と就労の両立支援に関する実情について共有した。
【5】その他の風土・環境
社員が上司や人事、あるいは相談窓口等に気兼ねなく、本心でコミュニケーションしあえる風土を大切にしている。そのような関係性があれば、社員が抱えるがんも含めた病気やその他の事情に対して、できる限り会社としてより添えると考えている。
■ランダムランチ
オフォスと在宅のフレキシブルな働き方が恒常的になる環境下において、部門の垣根を越えた社員同士のコミュニケーションを促進するために、今年度は「ランダムランチ」という企画を運用。入社時期や所属する部門が異なる役職員が4名ずつランダムにアサインされて対面でランチに行き(ランチ代会社負担【上限あり】)、その様子が社内 SNS で写真やコメントでシェアされている。
■メンターメンティー制度
入社 3 年以内の希望者は、他部門の役職者をメンターとして選べる。メンターは半年毎に選びなおすことができ、2人で 2 ヶ月に1回以上メンタリングを実施(ランチ代会社負担【上限あり】)しており、部門の垣根を越えた関係構築を促進している。
エピソード・思い
がんという疾病は個別性が高く、罹患社員毎に違う事情やニーズを抱えるものだと思います。社員本人の意向を一番に、人事は上司や医療者とも適切に情報連携をしたうえで、本人に寄り添った支援を続けていきたいと思っています。
【1】がんと就労の取り組みを始めたきっかけ
当社でがん保険を開発する際に、多くのがん罹患者からアンケートを取得しました。がんと診断された後に退職を選ばれた方、退職せずに働きながら治療を続けていても職場の理解が進んでいないと考えられている方たちの回答から、保険だけでは解決できない社会的な課題となる「がんと就労」に寄与するために、民間プロジェクト「がんアライ部」を立ち上げました。
同時に当社の制度面でも、社員ががんに罹患した際のサポートが不十分であることを認識し、ナイチンゲールファンドやダブルエール手当やダブルエール休暇等の人事制度導入を実施しました。
【2】他社の担当者への応援メッセージ
治療と就労の両立支援の領域は、企業が協力し合える分野です。アワード応募されている各企業様の実例を参考にさせていただき、自社の取り組みを前に進めていこうと思います。
講評・コメント
自社商品にちなんだ休暇や手当の制度構築・維持をされていて、保険会社ならでは支援体制を整えられています。
上司・人事・役員との複線的な「来風面談」や、ランダムランチ、メンターメンティー制度など、コミュニケーションに関する取り組みが充実しています。安心して相談できる関係構築が進められている印象を受けます。
※上記オレンジ色の枠内の項目は、がんアライアワード2023応募シートでチェックいただいた項目と同一のものです。