【がんアライアワード2023ゴールド】株式会社クレディセゾンの「がんと就労」施策 - がんアライ部
がんアライアワード2023に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。
ゴールド受賞:株式会社クレディセゾン
業種:その他金融業
従業員数:3,966名(嘱託、パート・アルバイトおよび派遣社員を雇用、その期中平均雇用人数は1,599名(1日7.5時間換算))
働く人を支える制度・ 体制
【1】がんと就労に関して、あるいは社員の健康や安全に関する基本方針等の表明
■健康経営宣言
2021年より、企業情報ページにて宣言を掲載し社外に表明、社内に対しては同年実施の衛生委員会にて通知し、各拠点の衛生委員を通じて各部門へ周知しています。
「『サービス先端企業』として新たな価値を創出し続けるために、社員一人ひとりが常にベストコンディションで、最高のパフォーマンスを発揮すること、また、社員とその家族の幸せ、お客様、取引先により良いサービスを提供することを目指しています。クレディセゾンでは、健康維持・増進を重要な経営課題と位置づけ、これを推進するための組織体制を構築し、様々な取り組みを行っていきます。」
■がんアライ宣言
がんアライアワード2018応募時に宣言、オフィス内に宣言を記載したがんアライ宣言ポスターを掲出して社内に周知しています。宣言の内容は以下の通りです。
1. 私たちは、がんに罹患しても働き続けられる社会であることを望んでいます。
2.私たちは、一人ひとりが自分らしく輝けるようサポートします。
■ダイバーシティ宣言
企業情報ページにて宣言を掲載し社外に表明しています。宣言の内容は以下の通りです。
「お互いを認め合い、活かし合う。一人ひとりが自分らしく輝く全員活躍のクレディセゾンへ」
また、2023年度は全役員が全社員に向けてそれぞれの「ダイバーシティ宣言」を発表。それに基づき、社内各部門でもアクションプランを策定しました。多様な人材が、全員活躍できる職場づくりのためそれぞれのアクションプランを実行中です。
【2】休暇制度
がんに限らず、病気や不調がある方が会社を辞めずとも十分な療養期間をとって治療にあたれるよう、休職・休暇制度を設けています。また、復職にあたっても心配なく業務に戻れるような支援を提供するための体制も整えています(<4>にて後述)。
■傷病休職(就業規則で定めるもの)
業務上・業務外の傷病で勤務が困難になった場合、その治療と療養のために休職する規則。復職後の安定就業を目指した休復職支援のプログラムを実施しています。
■半日単位・時間単位での年次有給休暇取得
有給休暇の活用パターンが複数あることで、治療をしながらでも無理なく働くために通院や療養などに必要な時間を確保することが可能です。
■失効年次有給休暇の積立制度
繰越年次有給休暇の残日数を180日を上限として積み立てることができ、介護や子の看護等の事由で休暇を取る際、有給の扱いとすることができます。
■その他、がんに関わらず社員の両立支援に向けて以下の休暇制度を整備しています。
・子の看護休暇
・介護休暇・休業
・生理休暇
・つわり休暇
・通院休暇
・ウェルネス休暇
【3】勤務制度
■治療と就労を両立する施策として、各種休暇の整備や柔軟な働き方を推進しています。治療をしながらでも無理なく働くため、通院や療養などに必要な時間を確保することが可能です。
■時間単位有給制度、半日有給休暇制度(年次有給休暇を、1日単位ではなく時間単位・半日単位で利用可能)
■短時間勤務制度(1日30分、1時間、1時間30分、2時間までの時間短縮が可能)
■短日勤務制度(月1~4日までの短日勤務が可能)
■フレックス勤務(コアタイムなしのフルフレックス)
■テレワーク勤務(がんに限らず基礎疾患保有者、疾病治療中や治療後の社員が安心して安全に就業できる環境を提供)
【4】支援体制
■社員が健康に関する相談をスムーズに行えるよう、相談専用アドレスと専用電話を設置し、 本人又は上司から直接産業医、保健師への相談が可能となっています。
■ウェルネス推進担当が常時使用できる専用の面談室を活用し、社員が周囲を気にせず、いつでも健康に関する相談ができるよう環境を整えています。
■部下と上司とで定期的に1on1を実施する制度があり、業務やキャリア、健康面についても相談できる仕組みを整えています。
■メンタル、フィジカルに限らず、疾病により休業した社員が、復帰後自律的に就業継続可能となるよう「セルフマネジメントアシストプログラム」を定め、社員の休復職支援を行っています。各フェーズで、本人への目標や健康状態を把握し、上司、産業医、保健師、人事が連携しながら、休業中~復職後までのサポートを行っており、復職後の能力発揮と再休職防止に向け取り組んでいます。
■復職後のキャリアについては、社員が働き続けるためのキャリア支援策を検討し、対応を行っています。
■やむを得ず休職期間満了にて退職にいたった場合でも、退職後5年以内であれば、退職時と同条件で再入社できる「リワークエントリー制度」を設けています。
■パレット健康保険組合に設けられた「健康相談窓口」で、社員(パレット健康保険組合の被保険者)とその家族が、全国どこからでも電話で健康相談できるサービスを活用しています。
■今後働く上で考慮が必要な事項(病気、介護等)を「ライフアンケート」で会社にいつでも申告できる機会を設けています。また、年1回はこのアンケートの記入を促すことで、申告が必要な社員へのアナウンスも実施しています。
【5】健康増進支援
■心身のリフレッシュとメンテナンスのために、5年に一度「ウェルネス休暇」の取得を推奨しています。連続休暇取得と人間ドック受診を促進し、人間ドックについては費用補助を行っています。
■社員の健康管理と疾病の早期発見、早期予防を目的に、全社員定期健康診断受診の徹底しており、毎年の健診受診率は100%で推移しています。法定項目の検査に加え、がんや生活習慣病対策を目的として検査項目を追加し、健康診断の内容充実を図っています。
■全社員を対象に、健康保険組合によるがん検診の費用補助を行なっています。また、2023年度より補助額を増額する等、さらなる受診率向上を目指しています。健保ホームページに市区町村で行っているがん検診も補助対象であることを明記しました。
■当社加入健康保険組合の電話・WEBによる健康相談、がんを含む対象疾患の専門医案内・セカンドオピニオン取得のサービスが利用可能となっています。
■がん拠点病院の相談窓口「がん相談支援センター」を社内イントラネット「健康フォーラム」等で案内し、がんに関する相談を促すとともに、人事担当も相談窓口として活用します。
■喫煙リスク軽減に向け、健康保険組合による禁煙外来受診を促進し、費用補助を行っています。
■健康維持増進、運動習慣の見直しや生活習慣改善を目的に、健康保険組合と連携し毎年ウォーキングキャンペーンを実施しています。
【6】その他の制度・体制
■上記<4>に記載の通り面談室の設置はあるものの、出社が難しい場合はリモート面談とするなど、体調や症状への配慮を行っています。
■体調や症状への配慮として、通勤経路変更も認めています。
働く人を支える風土、環境
【1】啓発、研修
■2021年度から毎年、女性の健康課題に関するセミナーを開催しています。今年度は女性がなりやすいがんについて、またその中でも乳がんのこと、その検査方法を知るテーマでセミナーを実施しました。乳腺外科の専門医師から直接講義受けられる貴重な機会となりました。また都合がつかず開催当日の受講を見送った社員向けにはアーカイブ配信も実施し広く機会提供しています。
■これまではがん検診受診を促す案内のみにとどまっていましたが、よりがん検診受診率を向上させることを目指し、がん検診に関するアンケートで全社員に向けてがん検診に対する意識調査を実施しました。今後の効果的な取組みを探るとともに 「がん検診の大切さ」と「検診の有効性」 を社員にアナウンスしています。
【2】情報発信
がんについての正しい知識を身につけ、早期のがん検診受診を促すため、社内イントラネット・社内SNS等を活用し、定期的な情報発信を行っています。
◆毎年10月の「がん検診受診率向上に向けた集中キャンペーン月間」「乳がん(ピンクリボン)月間」に合わせ、がん検診受診勧奨を行っています。
◆リアルタイムで情報提供できるチャットツール(Slack)を活用し、がんに関するセミナー等の情報発信や参加者募集、アンケート等も実施しています。
◆社内プロジェクトサイトツール導入に合わせて、病気の治療や育児・介護などの両立支援を含め、多様な働き方ができる職場への転換を目指したアクションプランの詳細情報を公開する場として社内プロジェクトサイトの活用を開始しました。
両立支援のみでなく、ダイバーシティ推進や社員のチャレンジを応援する施策などカテゴリごとに多様な情報の発信に活用し、風土醸成の一翼を担っています。
【3】コミュニティ
現時点では、コミュニティについての取組みに向けた検討のみとなり、実施した活動はありません。
【4】対外的な活動
2010年に厚生労働省委託事業「がん対策推進企業アクション」推進パートナーに登録後、2020年にはがん対策推進優良企業を受賞。
2023年の「がん対策推進企業アクション 企業コンソーシアム」においては、がん対策を熱心に取り組んでいるとされる企業として「企業コンソーシアム40」へ参画し、会議、研修会を通じて職域がん対策に積極的に取り組んでいます。
【5】その他の風土・環境
■従来の「ウェルネス推進チーム」が社員からの健康相談や具体的な健康増進施策推進を担う一方、2023年4月より「組織開発課」を発足させ、社員が将来にわたり長くイキイキと働くことができる組織風土づくりを担うことで、「治療と仕事の両立」「健康を維持・増進」をふまえた取組みもより一層強化しています。
■がんに関する信頼できる情報源「がん情報サービス」や全国各地にある「がん相談支援センター」などに関する情報を社内イントラネット「健康フォーラム」等で案内し、がんに関する正確な情報の取得を促しています。
■働く女性に多い疾患(乳がん、子宮がん、卵巣がん、大腸がん等)をテーマにセミナーを開催し、自身の身体を見つめなおす機会提供を行っています。また、早期発見の重要性を社員へ伝えています。
■変化に強い「人」と「組織」を創 り出していくために、逆境において力強く組織を牽引する能力(レジリエンス)を重視し、役員向けに「レジリエンスプログラム」を実施しました。役員が率先垂範し、身体力・情動力・思考力・精神力 の4つの活力を高める習慣を身に付け、組織に波及させることで、社員がよりイキイキと幸せに働き続けられることを目指し、今後も活動を継続していきます。2023年8月現在、役員全員が受講しています。
■ダイバーシティ推進活動において、生活と仕事の両立についてもダイバーシティ(多様性)の一つとして、より社内の実態に即した内容で推進が実行できるよう、社員とともに各部門のアクションプランを作成することで「より働きがいのある職場環境」を目指しています。
エピソード・思い
全国に拠点があり、就業場所や職種が多岐にわたる中、メンタル疾患者の増加が背景となり、2008年、社員の健康を一元管理する健康管理室(現在のウェルネス推進担当)を人事部内に設置しました。
また、女性社員が多い組織であることから、社内でがん(特に女性特有のがん)に罹患する社員からの相談が増え、罹患者が在籍中に死亡するケースも発生ました。
社員の死亡は、事業所や所属、周囲メンバーに与える影響は甚大で計り知れません。
今後、一人でも多く同じような思いをする社員が減り、いきいきと働き続けるためには、今一度「健康」への力強いアプローチが必要なのではないかと考え、がんの予防・早期発見の有効性や重要性を知ってもらうための取組み強化を進めています。
また、がんに罹患しても継続してそのキャリアを重ねることが可能になるよう、就業規則や各種制度の見直しを随時行い、仕事との両立へ向けたサポートを行っております。
【1】がんと就労の取り組みを始めたきっかけ
上述の通り、当社は女性社員が多い組織であったことから、近年も社内でがん(特に女性特有のがん)に罹患する社員からの相談が増えています。
がんに罹ったから、病気になったから働けない・働かないのではなく、自分の体をいたわり治療を続けながらもキャリアを諦めず、いきいきと自分らしく長く働ける会社でありたいとの考えから、がん治療のみならず治療と仕事の両立を実現できる風土醸成に力を入れています。
【2】他社の担当者への応援メッセージ
がん対策、治療と仕事の両立の実現に向けては、そのための取組みの一つ一つにおいて、当事者も、その周囲の人からも、たくさんの共感を集めることが大切と考えています。一歩ずつですが、これからも皆さんと一緒に取り組んでまいります。
講評・コメント
役員の方がそれぞれダイバーシティ宣言をされていることは、貴社ならでは取り組みであり、とても興味深いです。その取り組みの先に、社員一人一人がダイバーシティの取り組みの意義を理解し、具体的に行動できるようになることは、罹患者にとって安心して働ける環境づくりにつながると思います。
各種施策に対するアンケートを取得されたり、新たなツールのリリースにあわせて多様な働き方ができる職場への転換を目指したアクションプランを公開されるなど、社員に情報を届けることに対する工夫されており、社員に対する温かな眼差しを感じます。
※上記オレンジ色の枠内の項目は、がんアライアワード2023応募シートでチェックいただいた項目と同一のものです。