がんアライアワード受賞企業の取り組み事例

   

【がんアライアワード2023ゴールド】株式会社丸井グループの「がんと就労」施策 - がんアライ部

【がんアライアワード2023ゴールド】株式会社丸井グループの「がんと就労」施策 - がんアライ部

がんアライアワード2023に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。

 

ゴールド受賞:株式会社丸井グループ

業種:小売業

従業員数:5,882名

https://www.0101maruigroup.co.jp/

働く人を支える制度・ 体制

 

【1】がんと就労に関して、あるいは社員の健康や安全に関する基本方針等の表明

健康経営宣言/がんアライ宣言/その他の宣言

 

■ミッション・ビジョン・インパクト

丸井グループは、「すべての人が『しあわせ』を感じられるインクルーシブな社会を共に創る」をミッションに掲げています。2019年には、「ビジョン2050」において「ビジネスを通じてあらゆる二項対立を乗り越える世界を創る」というビジョンを示しました、そしてその鍵となるのが、誰も置き去りにしない「インクルージョン」という考え方です。

 

がんや障害に限らず「すべての人」を包摂した「しあわせで豊かな社会」を創ることを社員全員が取り組んでいます。2021年には目指す方向性をより明確化した「インパクト」を発表し、経営の中心軸にサステナビリティとWell-beingを据えました。(コーポレートサイトに掲載し、すべてのステークホルダーにお知らせ)

 

■Well-being経営

当社のめざす「Well-being経営」は、「Well-being」の視点を通じて新しい価値を創り、社会全体を「しあわせ」あふれる場所にしていくことです。すべてのステークホルダーの「しあわせ」のために、自分、社会、将来世代にとって意義のある仕事にチャレンジし、成長し続ける働き方を実現することを目指しています。

 

イキイキと活力にあふれ、自らが「しあわせ」を感じられる社員が増えることにより、創造性の高い組織へと変わり続けていくことが、社員にとっても社会にとっても価値となり、「しあわせ」な社会の共創に貢献できると考えています。(コーポレートサイトに掲載し、すべてのステークホルダーにお知らせ)


■人的資本経営

当社では、人的資本を企業価値の源泉と捉え、「人の成⾧=企業の成 ⾧」という 経営理念に基づき、「企業文化の変革」と「人の成⾧」に取り組んでまいりました。2005年から働き方改革や多様性の推進、健康経営など8つの施策に取り組み、企業文化を更新しています。これらの結果、社員のエンゲージメントは10年間で大幅に改善しています。合わせて人への投資を促進しています。(「丸井グループの人的資本経営」をコーポレートサイトに掲載し、すべてのステークホルダーにお知らせ)

 

■安全衛生方針

健康で安全な職場環境を整備することが、社員一人ひとりの成長を支える基盤となり、組織全体の活力を高め、企業価値向上の原動力になると考えています。この考え方をすべての事業活動に取り入れ、安全衛生水準の向上と、自主的な安全衛生活動を全社的に推進することを宣言します。(コーポレートサイトに掲載し、すべてのステークホルダーにお知らせ)

 

■がんアライ宣言

当がんアライ宣言も2019年より宣言し、4年連続でゴールドを受賞させて頂いております。(コーポレートサイトに掲出し、すべてのステークホルダーにお知らせ)

 

【2】休暇制度

傷病・病気休暇制度/傷病・病気休職制度/半日単位の有給休暇取得/時間単位の有給休暇取得

 

■特別休暇制度(有給の通院・入院休暇)

仕事と治療の両立支援のための特別休暇制度です。通院や入院、医師の診断による自宅療養が必要と診断された場合、1事由に付き20日の特別休暇を付与しております(2020年4月に新設)

 

■長期療養が必要な私傷病者(がん含む)に罹患時は、年次休暇・有休の通院・入院休暇の他に2年3ヶ月の休業ができる制度があります

 

■年次有給休暇の時間単位取得制度の導入

年度内で5日(半日単位で10回、時間単位で5日分)を上限に取得することが可能です。半日単位でのみでなく、2021年度より1時間単位での取得も可能になり、治療を受けながら就業する際にさらに利便性が向上しました

 

【3】勤務制度

時差出勤制度/フレックス勤務制度/在宅勤務(テレワーク)制度/長期入院時等の病室からのテレワーク勤務制度/サテライトオフィス勤務制度

 

■フレックス勤務制度およびテレワーク制度を本社・グループ各社を中心に一部の部署で導入しました。また、2021年度にはテレワーク規定を設定し、これまで以上に安心してテレワークが実施できるようになりました。

 

■エリア限定勤務制度

育児・介護・傷病・家庭環境等の事由により転居を伴っての赴任が難しいと認めらえれる社員に適応しています。

 

【4】支援体制

社員相談窓口の設置/保健師・産業医等の医療職の支援/外部医療機関との連携/外部支援サービス(EAP等)の活用/上司等との1on1、面談等の機会/人事担当者等との面談等の機会/主治医との書面上での情報連携/人☐事担当者等による受診時同行(主治医との直接の意見交換)/(休職を要さない場合)両立支援プランの策定・実行/休職中のフォロー/(休職した場合)職場復帰支援プランの策定・実行/復職後のフォロー/その他の支援体制

 

治療と仕事の両立支援面談

病気に罹患しその告知を受けた社員が休業の有無に関わらず安心して病気・治療や仕事と向き合うことを支援するために「治療と仕事の両立支援面談」の運用フローの整備をいたしました。当フローを社内イントラネットに掲載し、引き続き、病気を抱えながらも働く意欲を持つ社員一人ひとりの健康を応援することを周知いたしました。なお、両立支援面談は病気に罹患した社員のみならず、その社員を支える上司も受けることが可能です。(2023新規)

 

■外部EAP機関と契約し、小規模分散事業所における支援体制を整えています。復職者は基本的には全員利用を推奨し、専門カウンセラーによるきめ細かい支援を行なっています。外部機関とは3カ月に1度定期的に情報交換会を実施し、職場の状況を十分理解頂いた上での支援を行なう配慮を行なっています。

 

■休業が長期にわたる社員には、休み始めから3か月を目安に本人、上司、人事部、産業医、保健師で面談を実施しています。Webでの面談も含め、休業者の状況に合わせて柔軟に対応しています。

 

■休職中の社員は復職に際し産業医同席の復職面談を実施しています。体調や治療についての相談に充分にのったうえで作成する所見をもとに、人事部が勤務時間や勤務地・職種を考慮して復職する体制をとっています。

 

■復職後半年間は、健康調査票で体調や勤務状況を保健師が確認しています。必要に応じて面談を実施、関係者と連携をしています。

 

【5】健康増進支援 

健康診断受診率増加に向けた取り組み/健康診断受診率100%達成/がん等の任意検診受診費用の補助/人間ドッグ費用の一部補助/健康診断で「要検査」となった人のサポート/必要に応じた産業医・保健師の面談/定期的な産業医・保健師との面談/禁煙に関する取り組み/日常的な健康増進に関する取り組み(運動習慣獲得、食事管理、睡眠管理等)/健康増進イベントの開催/健康管理に関するアプリの配布/休憩室の整備  /その他健康増進支援

 

■自前の健保会館を有し、人間ドックを実施しています。

 

■各事業所に管理職からなる「健康管理委員」と女性の「ウェルネスリーダー」を配置し中心となって各事業所の健康への取り組みを推進しています

 

・「健康管理委員」

定期健康診断の受診促進や事業所で考案する独自の健康の取り組みなど健康全般。

 

・「ウェルネスリーダー」

女性特有の健康面の不安解消や、乳がん・子宮頸がん検診の受診促進、健康づくりをサポートする健康相談窓口の役割を担う。

 

■「ウェルネスリーダー」の活動では、女性下着メーカーのテナント様と共創して、乳がん触診モデルをセルフチェックシートとともにメインエントランスに設置いたしました。乳がん検診の重要性を社員・女性はもとより沢山の人々に知ってもらいたいという思いから企画いたしました。男女問わず通りかかったお客様に実際に触ってい頂きました。10代のお客様も興味深い様子で真剣にモデルを触っていた姿が印象的でした。

 

■「日本健康マスター検定」のおよび女性の健康検定の受験料を全額補助し、がんをはじめ生活習慣の改善等の必要性を学ぶことで、各自が予防に努める風土づくりをしております(日本健康マスター検定:1,500人以上、女性の健康検定656人の合格者)

 

■経済産業省の補助事業「令和4年度ヘルスケアサービス社会実装事業」である 「カラダシルプロジェクト」に参画いたしました。

 

■「女性のための健康相談窓口(オンライン)」の導入や子宮頸がん受診率向上のためのオンラインセミナーを実施しました。これらにより、社員のヘルスリテラシー向上と医療機関相談への敷居を低くし、がんの予防および早期発見に繋げております。

 

■毎月19日はピンク(19)の日」として乳癌早期発見につながるセルフチェックを促すメッセージを、毎年4月9日は「子宮頸がんを予防する日:子宮の日」として、正しい知識と検診の重要性を促すメッセージを全社員に送信しています。

 

■女性の健康週間(3月1日~8日)では、女性の健康情報を全社員に送信しています。

 

【6】その他の制度・体制

■傷病手当金

丸井健康保険組合の被保険者が業務外の理由で病気やケガをして欠勤し、会社から給料が支給されなくなったとき、丸井健康保険組合より手当金が給付。

 

■傷病休職手当金

会員が病気やケガのために長期にわたり休業し、会社からの給付および丸井健康保険組合からの「傷病手当金」の給付が満了したときに丸井グループ福祉会より給付。

 

■特別医療融資

丸井健康保険組合の被保険者である会員および、被扶養者である会員の家族が入院し、健康保険適用の医療を受け、月間10万円以上の支払いとなった場合、利率0%で特別医療融資が受けられる。

 

■自社ECでのウィッグ購入時の社員割引による補助、店舗でのメディカル用ウィッグご相談会の実施

 

■グループ社員向け割引保険(医療保険など)

 

■社員の健康に関する相談に対応する面談室の設置

 

働く人を支える風土、環境

 

【1】啓発、研修

社員向けのがんに関する研修/上長・管理職向けの両立支援に関する研修/女性向けのがんに関する研修 

 

健康管理委員会議(<5>参照)では、病気を抱えながら働く社員と持つ上司・同僚への対応のポイントを研修いたしました(2022下半期)

 

【2】情報発信

イントラネット、社内ポータルサイト等での情報発信/メルマガ等での情報発信/社内報等での情報発信/両立支援に関するハンドブック・ガイドブックの配布

 

■健康保険組合情報誌「サラダ」で情報発信

 

■「治療と仕事の両立支援面談」について社内イントラネットに掲載

 

【3】コミュニティ

現段階はありませんが、当事者同士経験を語り合っております。

 

【4】対外的な活動

がんに関する社会的な活動への協賛

 

■以下に参画、導入しております

 

・健康経営アライアンス

・「カラダシルプロジェクト」(経済産業省の補助事業 「令和4年度ヘルスケアサービス社会実装事業」)

・がん対策企業アクション

・厚労省ヘルスケアラボ

・厚労省 婦人科受診のトリセツ

・女性のための健康相談窓口(オンライン)」の導入

・健康組合連合会 産婦人科・小児科オンライン相談窓口

・女性の健康対策コンソーシアム

 

■専属産業医かつ取締役上席執行役員CWO(Chief Well-being Officer)の小島が、23年度は以下のセミナーに登壇し、特に経営目的としてのウェルビーイング、性別年齢に伴う健康課題への対応と支援、治療と仕事の両立支援について、社内外へ啓発する活動を行っております。(23年11月以降の予定含む)

 

・2023年2月7日 KENKO企業会 女性の更年期フォーラム

・2023年2月15日 日経FT感染症セミナー 特別講演 「企業が行なうべき女性の健康支援」

・2023年3月4日 日本医療マネジメント学会 「治療と仕事の両立支援とマネジメント」

・2023年4月15日 産業衛生学会産業医部会  「ウェルビーイング経営とは何か」

・2023年5月17日 日本の人事部 「丸井グループのポジティブメンタルヘルス支援」

・2023年5月22日 ビジネスブレイクスルーチャンネル 「経営目的としてのウェルビーイング」

・2023年6月20日 東洋経済人材マネジメントフォーラム「経営目的としてのウェルビーイング」

・2023年6月26日 HRラーニングセミナー「丸井グループの手挙げ文化醸成への挑戦」

・2023年7月3日 ウィメンズヘルス研究会 「社員のやりたい!を叶える健康経営」

・2023年7月5日 マーカスエバンス HR Japan Summit 2023 「働く人の笑顔が輝く未来 ~ウェルビーイングの本質に迫る~」

・2023年7月13日 さんぽ会 「丸井グループのウェルビーイング経営」

・2023年7月14日 三金会 女性管理職なでしこ部会 「産業医がなぜ取締役になったのか」

・2023年7月25日 関西生産性本部「経営目的としてのウェルビーイング」

・2023年7月28日 日経ビジネスオンライン「丸井G 更年期問題への対応」

・2023年10月14日 日本女医会キャリアシンポジウム 「女性のウェルビーイング」

・2023年10月19日 生涯現役シンポジウム 講演・パネルディスカッション「女性社員のウェルビーイング向上 ~エイジレスなキャリアと健康支援~」

・2023年10月31日 DEIBフォーラム「手挙げの文化醸成による丸井グループの企業変革」

・2023年11月19日 日本ポジティブサイコロジー学会 基調講演Ⅰ(35分間)「ウェルビーイング経営」とは何か ~企業の健康経営の最前線~」

・2023年11月21日 Smart HRカンファレンス「ウェルビーイングを通じた人と組織の活性化」

・2023年12月8日 慶應義塾大学講演 「経営目的としてのウェルビーイング」

・2023年12月13日 厚労省「治療と仕事の両立支援シンポジウム」特別講演・モデレーター

 

【5】その他の風土・環境

全社員がアクセスできる社内イントラネットで傷病休職制度や両立支援制度について周知しております。体調がすぐれない中でも必要な情報を得ることができるよう、動画を掲載しています。また、休職中の社員が孤立感を抱かないよう、また退職を考えないよう「復職を待っている」というメッセージを強く伝えております。

 

エピソード・思い

 

今年度は、「治療と仕事の両立支援面談」の運用フローの整備が出来たことが功績であります。病気に罹患して混乱し、大きな不安を抱いている社員に対し相談先が周知でき、早期にサポートできるようになりました。これにより、安心して仕事と治療の両立に取り組める組織風土の醸成に寄与できたと考えます。

 

【1】がんと就労の取り組みを始めたきっかけ

社員の高年齢化に伴い、がん罹患者が増加しております。罹患した社員が一人で悩み、また、上司が対応に困っております。そのような現状から社員および上司の双方をサポートしたいと思い実施いたしました。

 

【2】他社の担当者への応援メッセージ

がんアライの輪がさらに広がり、重なり、すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブな社会を共に創りましょう。

 

講評・コメント

 

ウェルビーイングについてCWOが数多く登壇され、治療と仕事の両立支援について講演されるなど、社外に向けての取り組みを推進されています。

 

自前の健保会館を所有され、人間ドックが受けられる体制を構築・維持されており、社員が安心して働き続けられる環境を力強く整えられています。

 

新たに「治療と仕事の両立支援面談」の運用フローを整備し、働く意欲を持つ社員を支えるとともに、社員を支える上司も面談が受けられるようにするなど、治療と就労の両立支援の取り組みをバージョンアップされ続けています。

 

※上記オレンジ色の枠内の項目は、がんアライアワード2023応募シートでチェックいただいた項目と同一のものです。

 

>>「がんアライアワード2023」受賞企業一覧はこちら

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