【がんアライアワード2019 ゴールド】株式会社丸井グループの「がんと就労」施策 - がんアライ部
がんアライアワード2019に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。
ゴールド受賞:株式会社丸井グループ
業種: 小売業
従業員数: 5,288名(2019年4月1日現在)
取り組みのきっかけやエピソード
・1931年の創業以来、創業者が社員を家族のように考えて健康に力を入れておりました。1970年に開設された丸井健保会館がその象徴となり、先代の社長もことあるごとに社員に人間ドックの受診を勧めたこともあって、丸井グループでは自然と健康経営が企業文化として培われてきました。その価値観が今のグループのミッションである『すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブで豊かな社会を共に創る』につながっています。がんや障がいに限らず「すべての人」を包摂したしあわせで豊かな社会を創ることを社員全員が心がけています。
・がんに罹患した社員が抗がん剤治療で身体的に負担が大きくなることが想定されたため、本人と直属上長、人事部が連携して在宅勤務できる体制を構築。当時はテレワークの仕組みが充分に整っていませんでしたが、直属上長、人事部が連携してサポートを行いました。
風土づくり
◆【共創理念】
丸井グループは 『すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブで豊かな社会を共に創る』をグループのミッションに掲げています。「すべての人」とは社員を含めてすべてのステークホルダーを指しており、そのためにはイキイキと活力にあふれ、自らが「しあわせ」を感じられる社員が増えることが必要です。そのベースこそが、健康(=ウェルネス)であると位置づけています。健康な社員はもちろん、病気の社員も含めたすべての社員が、社会のしあわせに向けて働く場が丸井グループであり、この理念はすべての社員に浸透しています。
◆【リテラシー向上】
・各事業所に健康管理委員、女性ウェルネスリーダーを配置。女性ウェルネスリーダーは「女性の健康検定」を受検して資格を取得することでリテラシーを高めて、社員に対して乳がんや子宮頸がんの教育を実施するとともに、乳がん検診、子宮頸がん検診の受診促進をしています。
・「日本健康マスター検定」の団体受検を推進しており、1,200 人を超える社員が資格を取得し、がんをはじめ生活習慣の改善の必要性を学ぶことで、各自が予防に努めています。
相談できる環境づくり
◆がんに罹患した社員に対しては、直属上司、所属長、人事部、産業医・保健師が連絡を密にして、休職制度や休職中の金銭面のサポート、休職明けの勤務体制などについて相談にのり、社員の不安を払拭して治療に専念できるような、万全なサポート体制を敷いています。
◆休職明けの社員は、復職に際して産業医の面談を受け、産業医が体調や治療についての相談に充分にのったうえで、産業医の所見をもとに人事部が勤務時間や勤務地・職種を考慮して復職する体制をとっています。
制度
◆【予防】
定期健康診断受診率5年連続 100%達成。また、がんの早期発見に向けた40才以上の社員の人間ドック受診率は毎年およそ7割にのぼります。これは、丸井健康保険組合は人間ドックの施設のある自前の健保会館を保有しており、「40 才になったらドックを受けるもの」という風土が醸成されていることと、本人の費用負担が10,000円のみということが寄与しています。
・乳がん検診は就業時間内に受診可能
女性社員の構成が44%と高いため、乳がん検診に注力した結果、40才以上の検診受診率は73%(2017年度)にのぼります。
◆【働き方】
・テレワークの推進
在宅勤務を含むテレワークを積極的に取り入れ、対象部署を拡大中
・半日有給休暇制度
治療を受けながら就業することにも活用できる制度で、年度内で5日(半日単位で10回)を上限に取得することが可能。
講評・コメント
従業員数5000名を超える規模でありながら、定期健康診断受診率5年連続100%、40歳以上の人間ドック受診率約70%と、がんを早期発見するための取り組みを進められています。
テレワークの仕組みが十分には整っていない時期に、がん罹患者に対して上司、人事部が寄り添い、在宅勤務の体制を構築されたエピソードから、制度がなくても運用を工夫することで乗り越えられる柔軟性が伝わってきます。