【がんアライアワード2020 ゴールド】株式会社丸井グループの「がんと就労」施策 - がんアライ部
がんアライアワード2020に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。
ゴールド受賞:株式会社丸井グループ
事業内容:小売業
従業員数:5,130人(2020年3月31日現在)
ウェブサイト:https://www.0101maruigroup.co.jp/
取り組みのきっかけやエピソード
・1931年の創業以来、創業者が社員を家族のように考えて健康に力をいれておりました。1970年に開設された丸井健保会館がその象徴となり、先代の社長もことあるごとに社員に人間ドックの受診を勧めたこともあって、丸井グループでは自然と健康経営が企業文化として培われてきました。その価値観が今のグループのミッションである『すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブで豊かな社会を共に創る』につながっています。がんや障がいに限らず「すべての人」を包摂したしあわせで豊かな社会を創ることを社員全員が心がけています。
・がんに罹患した社員が抗がん剤治療で身体的に負担が大きくなることが想定されたため、本人と直属上長、人事部が連携して在宅勤務できる体制を構築。当時はテレワークの仕組みが充分に整っていませんでしたが、直属上長、人事部が連携してサポートを行いました。
風土づくり
◆共創理念
丸井グループは『すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブで豊かな社会をともに創る』をミッションに掲げております。「すべての人」とは、「お客さま」「お取引先さま」「将来世代」「地域・社会」「株主・投資家」に加えて「社員」を含めた6つのステークホルダーを指してます。その実現のためにはイキイキと活力にあふれ、自らが「しあわせ」を感じられる社員が増えることが必要であり、そのベースこそが、健康(=ウェルネス)であると位置づけています。健康な社員はもとより、病気の社員も含めたすべての社員が、社会のしあわせに向けて働く場が丸井グループであり、この共創の理念はすべての社員に浸透しています。
◆リテラシーの向上によるがんへの理解浸透
・各事業所に管理職からなる健康管理委員と女性のウェルネスリーダーを配置しています。女性ウェルネスリーダーは「女性の健康検定」を受検して資格を取得することでリテラシーを高め、社員に対して乳がんや子宮頸がんの教育を実施するとともに、乳がん検診、子宮頸がん検診の受診を促進しています。
・「日本健康マスター検定」の団体受検を推進しており、1,200人を超える社員が資格を取得し、がんをはじめ生活習慣の改善の必要性を学ぶことで、各自が予防に努める風土づくりをしております。
相談できる環境づくり
◆がんに罹患した社員に対しては、直属上司、所属長、人事部、産業医、保健師が連携を密にして、休職制度や休職中の金銭面のサポート、休職明けの勤務体制などについて相談に乗ることで、療養中の社員の不安を払拭して治療に専念できるような万全なサポート体制を敷いています。
◆休職中の社員は復職に際して産業医が面談を実施、体調や治療についての相談に充分にのったうえで作成する所見をもとに人事部が勤務時間や勤務地・職種を考慮して復職する体制をとっています。
制度・配慮
◆早期発見
・定期健康診断の受診率は毎年100%にのぼります。そのうち40才以上の社員については、がんの早期発見に向けて、毎年約7割の社員が人間ドックを受診しています。これは単独健保である丸井健康保険組合が人間ドック施設のある自前の健保会館を保有しており、「40才になったらドックを受けるもの」という風土が醸成されていることと、本人の費用負担が10,000円のみということが寄与しています。
・事業所の巡回定期健診の中に乳がん検診のメニューが付加されており、就業時間中に受診ができます。女性社員の構成が45%と半数に近いため乳がん検診に注力した結果、40才以上の乳がん検診受診率は73%(2018年)にのぼります。
◆働き方
・特別休暇の新設
2020年4月に仕事と治療の両立支援のための特別休暇を新設。通院や入院、医師の診断による自宅療養が必要と診断された場合、年20日の特別休暇を付与します。
・テレワークの推進
在宅勤務を含むテレワークを積極的に取り入れ、本社はほぼ全ての部署がテレワーク可能
・半日有給制度
治療を受けながら就業することにも活用できる制度で、年度内で5日(半日単位で10回)を上限に取得することが可能
新型コロナウィルスの感染拡大による影響に応じて新しく始めた「がんと就労」の取り組み等に関するエピソード
・新型コロナウィルス感染拡大により、当社でもテレワークが急速に浸透していきました。抗がん剤治療中社員も、テレワーク時にオンライン会議システムやチャットを積極的に取りいれました。在宅勤務でもチームメイトとコミュニケーションをとることができ、治療と仕事の両立が可能となりました。その際、事前にチーム内でどのように仕事を進めるか打ち合わせをし、通院・治療時間は打ち合わせを入れないなどの工夫をしました。
・また資料や情報をクラウド上で共有することにし、当事者である社員が治療や体調などで参加できないミーティングはチームメイトが代理で参加するなど、生産性を下げずにいかにチーム成果につなげるか、考え実践しました。
・その経験が現在も生きており、治療が終了した現在も、デジタルを活用し、チームで成果を上げるための働き方が定着をしています。
講評・コメント
5000人以上という規模でありながら、健康診断の受診率を毎年100%に保たれており、従業員の健康増進に本気で取り組まれていることが伝わってきます。
また、今年度から仕事と治療の両立支援のための特別休暇(年20日)を新設されており、毎年着実に取り組みを進化されています。