【がんアライアワード2020 ゴールド】株式会社ファンケルの「がんと就労」施策 - がんアライ部
がんアライアワード2020に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。
ゴールド受賞:株式会社ファンケル
事業内容:化粧品・健康食品の研究開発、製造および販売
従業員数:1,055人 ※2020年3月31日現在 契約社員・パートなどは除く
ウェブサイト:https://www.fancl.jp/index.html
取り組みのきっかけやエピソード
・ファンケルはもともと社内の女性比率が高い(女性従業員比率68.7% ※2020年3月時点)。
・「乳がんセミナー」は、女性が多い職場であること、社内にも乳がん患者がいたこと、乳がんは自分でも見つけられるがんであることから、スタートした。本社だけでなく、研究所・全国の工場など各拠点において実施中。
・直営店舗のスタッフが罹患した際に、本社のがん体験者がいろいろ話して教えてあげたことで、安心して治療に取り組めた。
・「アソシエイト正社員」(※)の導入により、相互理解が進み、本人も働きやすくなった。
※アソシエイト正社員:「介護」「長期療養が必要な身体の病気」「身体障がい」を抱える正社員に対して、短時間・短日数での勤務を認める制度
・厚生労働省「がん対策推進企業アクション」にも取り組んでいる。
・今年4月に「がんアライ宣言」を行い、がんに取り組む姿勢をイントラネットで周知している。
・2019年度から株式会社アデランス様と協働で、がん患者様向けアピアランスケアメイクセミナーを実施している。2人に1人ががんになる時代、治療と仕事を両立する方も多く、外見変化にとまどい悩む方を笑顔にする活動として、株式会社アデランス様と協働で行っている。
・株式会社アデランス様のウイッグと、ファンケルの無添加スキンケア、無添加メイクでがん患者様に笑顔になってもらう取り組みで、昨年度は5件実施。全国に拡大したいと思っていた矢先、コロナウイルスの影響で延期になっている。現在、オンラインセミナー開催に向けて調整中
社会医療法人財団石心会 埼玉石心会病院でのアピアランスケアメイクセミナー
風土づくり
◆フレックス勤務・在宅勤務が浸透しており、働きやすい環境整備と、計画的な年次有給休暇の取得推奨を全社的に行うことで、休暇を取得しやすい風土づくりができている。
◆「がん=すぐ退職」という風潮は全く無い。がんに限らず、介護・育児等とも仕事の両立ができており、「出産=退職」「介護=退職」「がん=退職」とならないよう、上記の“柔軟な働き方”の取り組み促進や、「ダイバーシティ研修」の一環として認知症研修、座談会、VR体験研修等も実施し、相互理解を深めている。
◆がん経験者も複数おり、患者同士の相談も行っている。→今後、「患者会(ピアサポート)」等も立ち上げたいと考えている。
相談できる環境づくり
◆がんに罹患した場合、サポートする「健康支援室」が人事部内にあり、保健師5名が常勤。
・人事部⇔保健師⇔該当部署(上司・本人)の連携がとれており、がん治療と仕事の両立の相談もしやすい環境づくりができている。
◆がんに限らず、患者の主治医と、産業医・保健師の連携が可能。
・また、産業医と主治医で話さなくとも、本人⇔社内(人事部・保健師・上司)の調整がすでにできている。
◆治療面や、メンタル面含め、保健師が総合的にサポート。
・本人が直接上司に言いづらいことがある際などは、産業医・保健師が間に入りサポートもできている。
◆上司との面談が毎月定期的にあり、仕事以外の内容も相談できる雰囲気がある。
◆社内イントラネットにて、社内外の相談窓口について周知している。
制度・配慮
◆毎年実施している健康診断・人間ドック(50歳以上)は全額会社が負担。オプションの「乳がん検診」、「子宮がん検診」においても会社が全額負担で実施している。
◆HSS(ヘルスサポートシステム)で、従業員から直接保健師へメールでいつでも相談できる。
・HSSから、定期健康診断、人間ドック、がん検診等の検査項目管理、メンタルヘルス(ストレスチェック)や就労データ管理⇒ケアが必要と判断した場合迅速に本人へ連絡し、予防に取り組んでいる。
◆社内イントラネットでのがん啓発活動(早期発見・予防・一般的ながんの知識等)
◆本社だけでなく、各拠点=研究所、飯島、各工場(横浜・千葉・滋賀・群馬・長野)で、がん研修実施。
◆乳がんの自己触診研修と、自分でできるグローブを女性従業員全員へ配布。
◆フレックス勤務、在宅勤務等が浸透しており、働きやすい環境整備ができている。
・また、病気と仕事の両立を支援するため、短時間・短日数の勤務が可能な正社員の雇用区分であるアソシエイト正社員への移行も、要件を満たせば可能。
新型コロナウィルスの感染拡大による影響に応じて新しく始めた「がんと就労」の取り組み等に関するエピソード
・がん治療中の方はコロナに感染すると重症化しやすいため、保健師が個別に面談し、在宅勤務や有給取得などを含めた適切なアドバイスを実施している。
・シフト勤務の電話窓口勤務者や直営店舗勤務者も相談しやすいように、土・日・祝も相談できるよう、保健師が当番制で相談窓口を開設した。
講評・コメント
「直営店舗のスタッフが罹患した際に、本社のがん体験者がいろいろ話して教えてあげたことで、安心して治療に取り組めた」というエピソードからも、相談しやすい風土が醸成されていることが伝わってきました。事例集内の写真からも着実に取り組みを進められていることがわかります。
本社のみならず各拠点でもがん研修を実施されており、会社全体で風土・環境・制度づくりを進められています。