【がんアライアワード2022 シルバー】野村ビジネスサービス株式会社の「がんと就労」施策 - がんアライ部
がんアライアワード2022に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。
シルバー受賞:野村ビジネスサービス株式会社
業種: その他事業サ-ビス業(証券バックオフィス・サービス)
従業員数: 249名(2022年10月1日時点)
取り組みのきっかけ
がんに限らず、治療と仕事の両立に関する取り組みを実施していたが、グループ会社である野村證券からの情報発信をきっかけに、社内でがんアライ宣言やアワードに対しての関心が高まった。
風土づくり
◆会社の方針
がんなどの治療と仕事の両立支援のため、野村グループでは2018年4月に「NOMURAの健康サポートプラン」を策定。会社として治療と仕事の両立の支援について社内に情報発信している。
◆リテラシー向上や社内の理解浸透
・社員と上司向けの「治療と仕事の両立支援ガイドブック(本人編、上司編)」を作成し、がんなどの病気により治療を続けながら仕事をする社員が安心して仕事と治療を継続することができるよう、本人のみならず上司の対応方法なども周知している。
・治療と仕事を両立している社員の体験談を「キラッとNOMURA Life~私の体験談~」としてイントラネットに掲載。当社の社員も体験談を投稿し、体験談を読んだ社員から本人へ自身や家族のがんについての相談もあり、社員同士のつながりもできている。
・がんなどの理解を深めるための啓発活動として、以下の取り組みを実施。
- 毎月グループ内で制作している健康番組(動画)において、「がん検診後の精密検査」について取り上げ、2019年度より健保組合が開始した精密検査受診勧奨の状況を共有するとともに、早期発見・早期治療の大切さについて改めて訴えた。
- 全社員向けに月に一度配信している「健康だより」において、健康診断の重要性や喫煙のリスク、乳がんの実態と予防方法について啓発
- 2020年度より20代女性にも子宮頸がん検診を実施。イントラサイトに検査受診のポイントや精密検査を指摘された場合のその後の流れについて掲載。
- 新任基幹職研修において、復帰フローと両立支援ガイドブックに関する情報を提供。
- 風土づくりの効果検証をするために、全社員向け調査(健康意識調査)を2021年度に初めて実施し、社員の意識を確認。「会社が実施している社員の健康保持・増進に関する取り組みや姿勢に満足している」という回答が4 %という結果であった。
相談できる環境づくり
◆定期的に社員と上司、また社員と人事がそれぞれ1対1でコミュニケーションを取る機会があり、業務に関すること以外にもキャリアやプライベートに関することを相談することができる。また、全社員を対象に「心理的安全性」に関する研修を行い、誰もが気兼ねなく自分の状況や意見を言える職場づくりを推進している。
◆社員と上司向けの「治療と仕事の両立支援ガイドブック(本人編、上司編)」をイントラネットへ掲載し、いつでも確認できる環境になっている。
◆社員の健康に関する社内相談窓口を用意
- 健保ヘルスケアセンター:産業医・保健師・看護師が連携して、がん等に罹患した社員がより快適に働けるようさまざまな相談にのることのできる環境を整えている
- カウンセリングルーム:臨床心理士ががん等に罹患した後のキャリア等に関する相談にのっている
- 健康保険組合:セカンドオピニオンや専門医療機関への紹介・受診手配のサービスを提供している
- 人事:東京商工会議所の研修プログラムを受講し、「健康経営アドバイザー」として認定された人事担当者が社内制度や健康保険組合の給付に関することなど社員からの相談全般にのっている
◆治療と仕事を両立している社員の体験談に投稿した一部の社員が連絡先を開示し、サバイバー自らが社員からの相談を受ける環境がある。
制度
◆健康増進
・望まない受動喫煙の防止と社員の疾病予防のため2021年10月より就業時間内禁煙を導入。同時に健康保険組合が実施しているオンライン禁煙プログラム費用の全額補助の継続や、新たに禁煙に成功した社員へポイントインセンティブを付与するサポートを実施。社内喫煙所は2021年12月末を以てすべて廃止した。
・女性の健康促進のため、男女含めた全社員を対象に「女性の健康研修」を実施。CHOと高尾美穂産婦人科医の対談や、医師による解説動画を配信。
・社員の健康増進のため、部署ごとの平均歩数を競うオンラインのウォーキングイベント「ノム☆チャレWALK」を毎年実施。歩数や写真を全社員で共有し、「いいね!」やコメントの投稿で応援し合うことで、社員のコミュニケーション向上やコロナ禍での密を避けながらの運動習慣の定着につなげている。同時に参加者の平均歩数に応じた金額の寄付を行っており、2021年度は「国境なき医師団」に寄付。社員個人への健康増進のみならず、寄付という形での社会貢献につなげている。
◆予防・早期発見
・30歳以上の社員は原則無料で人間ドックを受診することが可能。女性の場合は、乳がん・子宮がん検診も無料で受けることができ、2020年度より20代女性にも子宮頸がん検診を拡大。なお、健保とのコラボヘルスの一環として、人間ドック早期受診者にはポイントを付与するインセンティブ制度を導入しており、継続受診・受診率向上につあながっている。2022年度は、個別事情を抱える者以外、社員全員が9月末までの人間ドック早期受診を達成した。
・人間ドック受診時には有給の「人間ドック休暇」を利用可能
・定期健康診断/人間ドックの受診後に二次検査が必要になった社員へ受診勧奨を実施。また、がん検診項目で要精密検査となった社員へは健康保険組合とのコラボヘルスにより受診勧奨を実施しており、それぞれ二次検査・精密検査受診時は、有給の二次検査休暇を利用可能。
◆罹患後
・半日・時間単位の年次有給休暇、傷病休暇、復職後の医師の診断に基づく短時間勤務。
・健保組合の高額療養費制度により、医療費の自己負担額が約25,000円/月に抑えられるため、経済的な心配をせずに治療に専念できる。
・欠勤した社員と上司に対して、休みに入った段階で療養と復帰に関する情報提供を行っている。復帰前には、会社が指定する書類(勤務情報提供書、主治医の就業に関する意見書、生活記録表など)を準備しながら、本人や職場における復帰準備を促し、必要な場合は産業医面談を行い復帰後の業務によって体調が悪化しないよう体制を整えている。書類は社員の意見を取り入れながら改訂を加え、より使いやすいものにしている。
その他の取り組みやエピソード
◆2018年度から仕事を両立する社員の体験談をイントラネットに掲載。匿名・写真なしで可としているが、体験談を読んだサバイバーから徐々に実名・写真入りでの掲載希望が増えている。また、体験談を掲載した社員へ個別に相談したり、体験談を読んでがん検診の重要性を認識した社員が体験談を社内に拡散したりするなど、社員発の動きが増えてきている。
◆社内でのがんアライ宣言の認知度を上げるため、がんアライ宣言の写真をイントラネットにて募集し、各自で写真を撮って送付してもらった。個人/組織での応募ともに昨年よりも大幅に増え、着実にがんアライ宣言の認知度や関心が高まっていることを実感している。
◆社内イントラネットでの情報発信では、就業時間内禁煙の取組みに対して「卒煙者インタビュー」を掲載するなど、健康意識が高まっている。
抱負
・がんに罹患した社員が発生した際に、会社と主治医との連携が十分にできるサポートを検討したい。
・地域との連携の必要性やその対策の検討
・当社で働くすべての人が、肉体的にも精神的にも、社会的にも満たされた状態(Well-being)となり、グループの社会的使命である「真に豊かな社会の創造」の実現につなげていくことを目指します!
講評・コメント
・全社員向け調査(健康意識調査)を初めて実施され、「会社が実施している社員の健康保持・増進に関する取り組みや姿勢に満足している」という回答62.4 %と、治療と仕事の両立がしやすい風土づくりを進められています。
・男女含めた全社員を対象に「女性の健康研修」を実施されるなど、健康増進のための具体的な取り組みを行われています。