【がんアライアワード2022 シルバー】野村プロパティーズ株式会社の「がんと就労」施策 - がんアライ部
がんアライアワード2022に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。
シルバー受賞:野村プロパティーズ株式会社
業種: 不動産賃貸業
従業員数: 97名(2022年3月末時点))
取り組みのきっかけ
これまでに社員ががんに罹患するケースはあったが、2021年度がんに罹患した社員が急逝したことで、がん治療と仕事の両立について改めて考えさせられた。身近な出来事により、社員一人ひとりの意識の変化もあり、またほんの少し意識を変えるだけで見える景色が変わってきている。その後、がんアライへの参加を社内に呼びかけ、小さな活動ではあるがその輪を広げる取り組みを実施した。今後も主体的な活動を一歩一歩積み重ねていき、社員が活き活きと働ける環境づくりに取り組んでいく。
風土づくり
◆会社の方針
野村グループとして、がんなどの治療と仕事の両立支援のため2018年4月に「NOMURAの健康サポートプラン」を策定。これに伴い、野村プロパティーズでは衛生委員会等を通じて治療と仕事の両立の支援について社内に情報を発信している。
◆リテラシー向上や社内の理解浸透
・野村グループとして、社員と上司向けの「治療と仕事の両立支援ガイドブック(本人編、上司編)」を作成。本ガイドブックには、がんなどの病気により治療を続けながら仕事をする社員が安心して仕事と治療を継続することができるよう、本人のみならず上司の対応方法なども掲載されている。当社では衛生委員会を通じ、本ガイドブックについて社内に案内周知している。
・また野村グループとして、治療と仕事を両立している社員の体験談を「キラッとNOMURA Life~私の体験談~」として野村グループイントラネットに掲載。当社では、衛生委員会等を通じ社内に情報共有をしている。
・がんなどの理解を深めるための啓発活動として、以下の取り組みを実施。
- 毎月野村グループで制作・配信している健康番組(動画)において、「がん検診後の精密検査」について取り上げ、2019年度より健保組合が開始した精密検査受診勧奨の状況を共有するとともに、早期発見・早期治療の大切さについて改めて訴えた。
- 野村グループ全社員向けに医療職が月に一度配信している「健康相談室たより」において、二次検査の重要性や喫煙のリスクについて啓発
- 2020年度より20代女性にも子宮頸がん検診を実施。イントラサイトに検査受診のポイントや精密検査を指摘された場合のその後の流れについて掲載。
- 新任管理職研修において、復帰フローと両立支援ガイドブックに関する情報を提供。
・風土づくりの効果検証をするために、全社員向け調査(健康意識調査)にて社員の意識を確認。2022年度は「病気の治療を続けながら働き続ける風土があると思う」という回答が66.6%であった。2021年度の60.2%から6.4%上昇した。
相談できる環境づくり
◆定期的に社員と上司、また社員と人事がそれぞれ1対1でコミュニケーションを取る機会があり、業務に関すること以外にもキャリアやプライベートに関することを相談することができる。また、全社員を対象に「心理的安全性」に関する研修を行い、部単位やプロジェクトベースで心理的安牲に配慮した働き方の意見交換を活発におこなっており、誰もが気兼ねなく自分の状況や意見を言える職場づくりを推進している。
◆社員と上司向けの「治療と仕事の両立支援ガイドブック(本人編、上司編)」を野村グループイントラネットへ掲載し、いつでも確認できる環境になっている。
◆社員の健康に関する社内相談窓口を用意
- 産業医・保健師が連携して、がん等に罹患した社員の相談への対応可能。
- カウンセリングルーム:各社員の必要に応じ臨床心理士ががん等に罹患した後のキャリア等に関する相談にのっている
- 健康保険組合:セカンドオピニオンや専門医療機関への紹介・受診手配のサービスを提供している
- コーポレート統括部人事課:産業医・保健師・衛生委員会と連携して会社全体の健康管理や社員個別の相談窓口として対応している。
・治療と仕事を両立している野村グループ社員の体験談に投稿した一部の社員が連絡先を開示し、サバイバー自らが野村グループ社員からの相談を受ける環境がある。
制度
◆健康増進
・禁煙対策として、2021年10月より就業時間内禁煙を導入。同時に健康保険組合が実施しているオンライン禁煙プログラム費用の全額補助の継続や、新たに禁煙に成功した社員へポイントインセンティブを付与するサポートを実施。社内喫煙所は2021年12月末を以てすべて廃止し、喫煙室を撤去した。
・女性の健康促進のため、男女含めた全社員を対象に「女性の健康研修」を実施。CHOと高尾美穂産婦人科医の対談や、医師による解説動画を配信。また部単位にて、女性の健康・働きやすい職場づくりをテーマにした意見交換をおこない、女性・男性ともに意見を言える職場づくりを推進している。
・社員の健康増進のため、部署ごとの平均歩数を競うオンラインのウォーキングイベント「ノム☆チャレWALK」を毎年実施。歩数や写真を全社員で共有し、「いいね!」やコメントの投稿で応援し合うことで、社員のコミュニケーション向上やコロナ禍での密を避けながらの運動習慣の定着につなげている。同時に参加者の平均歩数に応じた金額の寄付を行っており、2021年度は「国境なき医師団」に寄付。社員個人への健康増進のみならず、寄付という形での社会貢献につなげている。
◆予防・早期発見
・30歳以上の社員は原則無料で人間ドックを受診することが可能。女性の場合は、乳がん・子宮がん検診も無料で受けることができ、2020年度より20代女性にも子宮頸がん検診を拡大。なお、健保とのコラボヘルスの一環として、人間ドック早期受診者にはポイントを付与するインセンティブ制度を導入しており、継続受診・受診率向上に努めている。
・人間ドック受診時には有給の「人間ドック休暇」を利用可能
・定期健康診断/人間ドックの受診後に二次検査が必要になった社員へ受診勧奨を実施。また、がん検診項目で要精密検査となった社員へは健康保険組合とのコラボヘルスにより受診勧奨を実施しており、それぞれ二次検査・精密検査受診時は、有給の二次検査休暇を利用可能。
◆罹患後
・半日・時間単位の年次有給休暇、傷病休暇、復職後の医師の診断に基づく短時間勤務。
・健保組合の高額療養費制度により、医療費の自己負担額が約25,000円/月に抑えられるため、経済的な心配をせずに治療に専念できる。
・欠勤した社員と上司に対して、休みに入った段階で療養と復帰に関する情報提供を行っている。復帰前には、会社が指定する書類(勤務情報提供書、主治医の就業に関する意見書、生活記録表など)を準備しながら、本人や職場における復帰準備を促し、必要な場合は産業医面談を行い復帰後の業務によって体調が悪化しないよう体制を整えている。書類は社員の意見を取り入れながら改訂を加え、より使いやすいものにしている。
その他の取り組みやエピソード
◆2018年度から仕事を両立する野村グループ社員の体験談をイントラに掲載。匿名・写真なしで可としているが、体験談を読んだサバイバーから徐々に実名・写真入りでの掲載希望が増えている。また、野村グループ内では体験談を掲載した社員へ個別に相談を実施し、体験談を読んでがん検診の重要性を認識した社員が体験談を社内に拡散するなど、社員発の動きが増えてきている。
◆昨年度のがんアライアワードに応募するにあたり、当初は少数での活動であったが、活動内容を知った経営トップに賛同いただくことで、推進する社員の大きな励みとなった。
◆2022年度は、がんアライの啓発活動として、昨年度の取り組みや「がんアライアワードシルバー」を受賞したことを改めて社内に説明し、この取り組みが働きやすい職場づくりの意識を高めることにつながるよう、全社員向けに「がんアライ宣言」への募集通知を積極的に行った。その結果、38名の役職員が参加(昨年比3.8倍、役職員4割程度の参加)し、がんアライに関する社員の意識や関心を高めることができたと実感している。
抱負
・がんの予防や早期発見のために、これまでと同様、人間ドックなどの定期健康診断、二次検査の受診勧奨などの基本的な取り組みを徹底し、健診等100%実施に向けた取り組みを推進していく。
・社員がより健康的な生活習慣を取り入れることができる機会をつくっていく。
・社員とのコミュニケーションを大事にし、より心理的安全性のある職場環境に努めていく。
・社員ががんに向き合うことになった場合も、本人が安心して治療と就労を両立できるようサポートしていくとともに、がんアライによる啓発活動にも引き続き積極的に取り組み、会社全体の健康経営へのモチベーションを高めていきます!
講評・コメント
・全社員向け調査(健康意識調査)にて「病気の治療を続けながら働き続ける風土があると思う」という回答が66.6%(前年度から6.4%上昇)と、治療と仕事の両立がしやすい風土づくりを進められています。
・社内喫煙所をすべて撤去されたり、男女含めた全社員を対象に「女性の健康研修」を実施されるなど、健康増進の取り組みを進められています。