【がんアライアワード2022 ゴールド】朝日航洋株式会社の「がんと就労」施策 - がんアライ部
がんアライアワード2022に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。
ゴールド受賞:朝日航洋株式会社
業種: 航空運送事業/測量コンサルタント事業
従業員数: 1,310名
取り組みのきっかけ
罹患者から、社内制度の周知不足や上長への教育の必要性、がんについての正しい知識等について、人事部宛に「がん治療と就労についての提言」が提出され、社全体として取り組むこととなった。
それにより現在は正式な委員会として社内での教育や傷病データ収集、復職プログラムの構築等を定期的に会議開催し取り組んでいる。
風土づくり
◆全体的な社内働き方改革委員会の中に「私傷病の治療と仕事の両立支援分科会」を設置し、総合的な相談窓口/休暇の取得方法/治療に関わる情報提供等を全社的にバックアップしている
⇒両立支援コーディネーター資格取得済み
◆社内向けのハンドブックを作成し「すぐに辞めない、辞めさせない」をスローガンにしている
◆両立に不可欠な「正しいがん知識」を周知するために罹患者による「がん教育」と人事担当者による「社内制度(休暇・給付金等)」をセットにした教育を全国社員に開催している
⇒新入社員研修や社内研修を定期的に開催することが根付いた。また適宜eラーニング、イントラネット上での情報提供、アンケート集計等を実施している。
◆失効有給休暇積立制度の改善:失効した有給を最大60日(有給を含めると100日)傷病に限り利用できる制度について、今までは有給を使い切ったところから利用可能であった。しかし、罹患者にも生活に関する休暇が必要であるため、5日を残したところから利用可能とし、傷病ではない行事等での休暇に充てられるよう改善した
相談できる環境づくり
◆罹患時に先述した相談窓口に問い合わせることによって、本人の情報展開に留意しながら治療及び休暇等の相談をすることができる
◆治療を終え復職する際は、当社オリジナルの*「仕事をする上での注意事項」を罹患者に記載してもらい、罹患者/罹患者上司/人事部/産業医にて面談し復職スケジュールを決めている
*6週間以上休務する場合は医師の診断書(又は医師の意見書)が必要。しかし診断書の作成費用や期間等が罹患者にとって煩わしいことがあるため、6週間未満のケースは、主治医や薬剤師等医療従事者から受けた「何が出来て、何に注意し、時間外や出張等可能か」などをその注意点に記載。それをもって判断材料としている
制度
◆失効有給休暇積立制度
◆サテライト勤務、時差/時短勤務
◆そのほかに、制度にはないが部門長の裁量によって柔軟に罹患者の就労について対応している
◆新たに健康増進手当を支給。条件として定期健康診断の受診が必須であり、各自の健康状態把握等の啓蒙に繋げている。
◆現在一部職種に限られるがコアタイムを設定しないフレックス制度を確立。
それにより柔軟に検査や通院、治療に充てることが出来ている。今後他職種に拡充検討中。
◆女性の乳がん/子宮頸がん受診率を上げる為、女性社員の検診車受診から、半日業務扱いで病院受診に切り替え、健康診断と同日に女性のがん検診を受診できる取り組みにより、乳がん75%、子宮がん68.5%と受診率が向上している。
◆再検査・要精密検査判定された再検査費用の実費を1万円/年度まで補助し、再検査受信日を半日業務扱いとした。
その他の取り組みやエピソード
◆このような委員会を設置し「がん罹患者のオープン」をすることにより「隠れがん患者」が相談に来るようになった。
この取り組みは社外にも少しながら知られるようになり、他社のがん患者からも相談がある(同じように取り組みたい、復職のために会社に対してどのように話をするか等)。
◆全国小中高生向けのがん教育の教材DVDの「就労との両立」について出演/収録をした。がん対策基本法に則りがん教育をする、そのための文科省推薦教材である。これを機に若い学生にも何かしらのメッセージを送る機会を作れたら、と考えている。
◆社内教育を継続した結果、新たに協力したいという社内罹患者が増えた。上皮がん以外にも血液がんや女性特有のがん経験者など幅広く協力して頂いている。
◆他社や他機関が作成したハンドブック等を入手しそれを管理者に配布、説明。それにより部下への寄り添い方等考え方浸透。
⇒一般社団法人がんと働く応援団の冊子【がん防災】に協賛し、がん・病気への備えを広く周知することに役立てられている。
⇒一般社団法人がんチャレンジャー「寄り添い方ハンドブック」の利用
◆厚生労働省委託事業がん対策推進企業アクション「コンソ40」の中心的な企業として参画。また別に女性によるWG「Working RIBBON」にも参画し広く活動。
⇒本コンソーシアムの今年度目標である「検診率向上及び内容精査」を当社も取り組むことし、最新の検診率確認、検査内容を他社事例と比較し改善検討、要再診者に対する勧奨方法等
講評・コメント
・現制度の骨組みを強化されたように感じます。
・今後もがんと就労に関する風土・環境・制度づくりを社内外で進められることを期待しています。