【がんアライアワード2023ゴールド】日本オラクル株式会社の「がんと就労」施策 - がんアライ部
がんアライアワード2023に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。
ゴールド受賞:日本オラクル株式会社
業種:IT
従業員数:2400人
働く人を支える制度・ 体制
【1】がんと就労に関して、あるいは社員の健康や安全に関する基本方針等の表明
社外にも公開している「倫理とビジネス行動規範に関する規定」において、精神的または肉体的障がいまたは健康状態に関わらず差別を禁止し、機会の平等を提供する旨を明記している(65ページ)
【2】休暇制度
【3】勤務制度
多くの社員が裁量労働制度で働き、フルタイム会社で働くか、自宅で働くか、会社と自宅のハイブリッドで働くかを選んで働いている。長期入院等、疾病時には治療に注力してほしいと伝えているが、個々の事例によって違うので、ケースバイケースで相談に応じている。
【4】支援体制
社員の希望に応じて保健師、産業医との面談の機会がある。また、すべての社員が上司と1on1での目標設定、評価のミーティングを行っており、体調面や家族の介護等で働き方に不安がある場合は適宜相談できるようになっている。
【5】健康増進支援
■提携している東京都情報サービス産業健康保険組合の定期検診は35歳以上(被保険者・被扶養者)では一般的な生活習慣病予防健診に胃がん・子宮がん・肺がん・乳がん・大腸がんの各検査を追加して実施。40歳以上の被保険者・被扶養者は人間ドックの受診となり、胸部X線、胃部X線もしくは内視鏡、オプションで子宮・乳房(超音波またはマンモグラフィー)が含まれる。
■カフェテリアプラン(選択型福利厚生制度)による健康関係の支援
■健康増進器具購入支援(健康測定機器、スマートウォッチなどの購入費用を補助)
■オプション検診、任意検診費用の補助(家族含む)
■予防接種費用補助(家族含む)
【6】その他の制度・体制
■総合福祉団体保険(死亡・高次機能障害に対する保険制度)
■団体長期給与補償保険(傷病による休務時の所得補償保険)
■健康保険組合の健康相談窓口
働く人を支える風土、環境
【1】啓発、研修
10月をPink Octoberと題し、全世界の社員に対し、乳がん啓発月間として活動している。インドではIndian Cancer Societyと協力し、クイズ形式で乳がんに関する知識を習得するWebinarを開催し、日本を含めた他国からの参加者も募っている。日本でも社内外から乳がん経験者をゲストスピーカーに呼んで体験談を聞く機会を作っている。
【2】情報発信
イントラネット、社内ポータルサイト等での情報発信/罹患者の体験談を見られる機会の提供/その他情報発信
■ダイバーシティ・インクルージョンに関する会社の取り組み事例紹介(社外web)
■株主招集通知などでのインベスター向け情報発信
■社員の罹患者の体験をWebinarで共有し、仕事との両立や治療についての知識を深めている。Webinarは社内限定でアーカイブ配信を行い、リアルタイムで参加できない社員にも情報が届くようにしている。
【3】コミュニティ
■2023年、乳がん罹患者、経験者、家族のためのグローバル社員コミュニティ:OASIS-BC (Oracle Assistance & Support In Surviving – Breast Cancer)発足。
■ODAN (Oracle Diverse Ability Network)という障害の有無に関わらず誰もが働きやすい職場作りを目指す社員コミュニティでは、本人や家族の疾病を含めて当事者で相談しあっている
【4】対外的な活動
オフィスがある青山周辺の企業と協働で乳がん罹患者の体験を共有するWebinarを開催。発端は、がん関連の活動ではなく、地域の貢献活動で知り合った社外の仲間だが、雑談の際にオープンにがんの話をする中で、新たに罹患し、手術を経験した方が「記憶が新しいうちに、経験を共有したい」と言ってくださり、近隣企業で働く人を対象に「乳がんを語る会」を実施することになった。1社だけでできることは限られているが、こういった草の根活動でも社会の認識を変えていけるのではないかと感じた。
【5】その他の風土・環境
ODANがテーマを決めずに悩み事を相談できる「DANらん」というカジュアルな会では、本人や家族の疾病について仲間に相談できる機会を設けている。
エピソード・思い
今年はじめて、企業を超えて、近隣で働く人たちと一緒に乳がん経験者が語る会を実施ができました。社会全体でがんをタブー視することなく、がんになっても働き続けるのが当たり前になるような風土を作っていきたいです。来年以降は乳がん以外の体験談を語る機会も作っていきたいと考えています。
【1】がんと就労の取り組みを始めたきっかけ
「働き甲斐のある職場づくり」という点では、がん治療限らず、さまざまな傷病に対して継続就労できる、あるいは療養に専念できる環境の整備が必要であると考えたため。
【2】他社の担当者への応援メッセージ
社員が疾病時にも安心して継続就労できる環境整備として、柔軟な勤務制度を整えることは重要だが、一方で疾病時に「安心して休める」休暇制度、福利厚生制度の整備も必要であると考える。その両立という点では、必ずしもがん治療に特化することなく、様々な傷病に対して、継続就労と適切な休務による療養という両面からの制度拡充を進めてください。
講評・コメント
乳がん罹患者、経験者、家族のためのグローバル社員コミュニティ︓OASIS-BCを立ち上げている他、周辺の企業も巻き込んで乳がん罹患者の体験を共有するWebinarを開催されるなど、貴社ならではやり方で働く人を支える風土、環境づくりを進められています。
エピソード・思いに記述いただいた「社会全体でがんをタブー視することなく、がんになっても働き続けるのが当たり前になるような風土を作っていきたい」という思いは、がんアライ部も思いを同じくしています。
貴社のさらなる取り組みに期待をしております。
※上記オレンジ色の枠内の項目は、がんアライアワード2023応募シートでチェックいただいた項目と同一のものです。