【がんアライアワード2023ゴールド】株式会社ファンケルの「がんと就労」施策 - がんアライ部
がんアライアワード2023に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。
ゴールド受賞:株式会社ファンケル
業種:化粧品・健康食品の研究開発、製造および販売
従業員数:896名 ※2023年3月 契約社員・パートなどは除く
働く人を支える制度・ 体制
【1】がんと就労に関して、あるいは社員の健康や安全に関する基本方針等の表明
■ファンケルグループ「健康経営宣言」
従業員の健康が経営の基盤であるという認識のもと、従業員がいきいきと笑顔で働けるよう従業員の健康づくりに積極的に取り組み、2017年8月に健康経営宣言を制定、2018年3月に健康支援室を設立しました。
健康経営宣言:スローガン「私たちが美しく健やかであること それが何よりの証明です」のもとに、<健康理念><会社の健康指針><従業員に求める行動姿勢>を策定。
■がんアライ宣言
がんアライアワード2020応募時に宣言。
【2】休暇制度
■傷病・病気休職制度
長期療養が必要な私傷病(がん含む)に罹患時、最長1年休職できる制度。
■半日単位の有給休暇取得
半日単位で有給休暇を取得できる制度。
【3】勤務制度
■時差出勤制度、フレックス勤務制度、在宅勤務制度
すべての従業員を対象に働き方改革の一環として、在宅勤務とフレックス勤務を併用できる制度を導入しています。
■サテライトオフィス勤務制度
各事業所にサテライトオフィスを設けており、通常勤務する事業所以外でも勤務できるよう整備している。
■短時間勤務制度、短日勤務制度
がんをはじめとした身体的な病気を抱える従業員が、本人の希望する時間や日数でフレキシブルに勤務できる「アソシエイト正社員」を導入しており、正社員としての雇用を維持しながら、治療と仕事の両立を実現している。また、パートや契約社員といった雇用区分を選択する従業員に対しては、治療にあわせた柔軟な勤務時間、日数の変更を行っている。
■リハビリ出勤制度
療養から復職する際、復職プログラムを最長6か月実施し、健康支援室の産業医、保健師が部署と連携してサポートを実施。時短からスタートできるプログラムを整備している。
【4】支援体制
■社員相談窓口の設置
健康面に関しては保健師6名が所属する健康支援室が全部署をそれぞれ担当し、相談を受けている。それ以外の制度、利用できる福利厚生等については、人事部が相談を受けられる体制を整備している。また、健康保険組合等、外部の相談窓口も常に利用できるよう周知している。
■保健師・産業医等の医療職の支援
療養から復職する際、復職プログラムを最長6か月実施し、健康支援室の産業医、保健師が部署と連携してサポートを実施。必要な配慮等を専門的立場で助言することで、部署の対応、本人の両立を支援している。
■両立支援プランの策定・実行
がん療養者に対しては、社内外で利用できるサポートや、休職や復職、両立のイメージができるようまとめた「がん治療と就労の両立支援ハンドブック」を作成し、全従業員へ周知し、いつでも閲覧ができるようイントラネット、健康管理システムに掲載を実施した。治療する従業員だけでなく、上司も内容を知ることで、健康支援室と職場が協力した両立支援プラン策定・実行に役立てている。
【5】健康増進支援
■健康診断受診率増加に向けた取り組み、健康診断受診率100%達成
健康診断は会社として義務のないアルバイト従業員も含め全従業員を対象に実施している。健康診断を受診する風土があり、毎年100%を維持している。
■がん等の任意検診受診費用の補助
会社の健康診断の中で、年齢に合わせて子宮頸がん検診・乳がん検診・大腸がん検診等、従業員が費用負担なく受けられるようにしており、がんの早期発見・早期治療へつなげている。
子宮頸がん検診については、これまで費用負担なく受けられるのは35歳以上のリスクが高い層に限っていたが、20代の従業員から自身で予約、受診することが受けにくさにつながっているとの声があり、2022年度より35歳未満の従業員も会社の費用負担で受けられるようにした。結果、女性従業員の76.7%が費用補助を利用して子宮頸がん検診を受けている。
■人間ドック費用の全額補助
50歳以上の社員は、年に1回の人間ドックを全額会社負担で受けられるようにしている。
■必要に応じた産業医・保健師の面談
常勤で正社員の保健師を6名配置しており、いつでも気軽に相談できる。
■禁煙に関する取り組み
禁煙したい人が禁煙できる環境、システム作りを行っており、事業所内全面禁煙、就業時間の禁煙を制度化している。2022年度から禁煙希望者に対し禁煙外来や禁煙補助薬にかかる費用の補助を開始した。また、禁煙宣言を発信し、禁煙スローガンを策定し組織風土の醸成をはかっている。
■日常的な健康増進に関する取り組み、健康増進イベントの開催
健康保険組合主催のウォーキング大会への参加促進、体力測定会、歩き方セミナー、社員食堂での朝食提供といった、適切な生活習慣獲得に向けた支援を実施。
■健康管理に関するアプリの配布
元気習慣というアプリを作成し、全従業員へダウンロードをすすめた。登録し、問診にこたえることでそれぞれに適したコンテンツが閲覧できる。
■その他健康増進支援(サリバチェッカー)
唾液によるがんリスクスクリーニングの情報提供を実施。会社として申込を行うことで従業員が受けやすい体制を整備している。
【6】その他の制度・体制
■面談室の設置
社員の健康に関する相談にいつでものれる専用の部屋を設置。
■健康管理システム
従業員がマイページをもてる健康管理システムを導入しており、いつでも気軽に相談ができる仕組みづくり。
■乳がん患者様に使いやすい商品の開発
ナチュラルフィットブラ、インナーを開発し、販売している。従業員は会社補助を利用して購入することができる。
働く人を支える風土、環境
【1】啓発、研修
■社員向けのがんに関する研修、女性向けのがんに関する研修
医師によるがん検診セミナーをオンラインで開催した。
■上長・管理職向けの両立支援に関する研修
管理職研修の中で治療と仕事の両立支援に関して、理解が広まるような内容を組み込み発信している。
■がんに関するe-ラーニングコンテンツの提供
産業医・保健師が女性のがんを含む健康に関する動画を作成し、全従業員がいつでも視聴できるよう社内動画配信システムに掲載している。
■その他啓発、研修
ピンクリボン月間にあわせて、2023年10月18日~20日社員食堂前で、乳がんの早期発見啓発活動を実施。自己触診方法の説明、乳がんモデルを実際に触ってみる、グローブの配布など実施。
【2】情報発信
■イントラネット、社内ポータルサイト等での情報発信
ピンクリボン月間イベント、がん検診やその後の精密検査について等、ヘルスリテラシーを高める情報発信を実施。
■両立支援に関するハンドブック・ガイドブックの配布
社内外で利用できるサポートや、休職や復職、両立のイメージができるようまとめた「がん治療と就労の両立支援ハンドブック」を作成し、全従業員へ周知。
■ポスター等の掲出
子宮頸がん、乳がんに関するポスターを社内に掲示している。
【3】コミュニティ
なし
【4】対外的な活動
■がんに関する社会的な活動への参加…ピンクリボンかながわへの協賛(売り上げ一部寄付、従業員の寄付活動からの寄付など)
■がんに関するイベント・セミナー等への登壇…がん患者様へのメイクセミナー
エピソード・思い
がん療養中の退職者を減らしたい思いから、元々の休職期間より半年延長を目指し、健康支援室が会社へ提案を実施。会社の承認があり、実際にその制度で休職期間を延長し、仕事復帰できた従業員がいる。
【1】がんと就労の取り組みを始めたきっかけ
女性従業員が多い中で女性のがん罹患者が増えており、仕事と治療の両立の制度を整えることが必要だと考えはじめたことがきっかけ。
【2】他社の担当者への応援メッセージ
がんアライの輪がさらに広がるように、一緒に頑張りましょう!
講評・コメント
「がん治療と就労の両立支援ハンドブック」を作成し、全従業員への周知、イントラネット、健康管理システムに掲載を実施されることで、治療する従業員だけでなく上司も確認できる両立支援の体制を構築されています。
会社の費用負担での子宮頸がん検診の受診対象を35 歳未満にも広げるなど、健康増進の取り組みをさらに進められています。
雇用区分の違いにとらわれず、広く従業員に対しても柔軟な対応を続けられている貴社は、多くの人の人を支える体制づくりをされていて素晴らしいです。
※上記オレンジ色の枠内の項目は、がんアライアワード2023応募シートでチェックいただいた項目と同一のものです。