がんアライアワード受賞企業の取り組み事例

   

【がんアライアワード2023シルバー】ニチレイグループの「がんと就労」施策 - がんアライ部

【がんアライアワード2023シルバー】ニチレイグループの「がんと就労」施策 - がんアライ部

がんアライアワード2023に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。

 

シルバー受賞:ニチレイグループ

業種:加工食品事業、水産事業、畜産事業、低温物流事業、不動産事業、バイオサイエンス事業 

従業員数:15,766名(2023年3月31日現在)

※株式会社ニチレイ人事部ニチレイ健康推進センターが主体となって、ニチレイグループ全体の治療と仕事の両立支援施策を推進しています。

https://www.nichirei.co.jp/

働く人を支える制度・ 体制

 

【1】がんと就労に関して、あるいは社員の健康や安全に関する基本方針等の表明

健康経営宣言/がんアライ宣言 

 

■基本方針名称:ニチレイグループ健康宣言

・ニチレイグループ健康宣言文言

「おいしい瞬間を届けたい」、その想いを大切に、ニチレイグループで働く一人ひとりの健康づくりに取り組みます

 

・概略

2016年4月1日にニチレイグループ健康宣言を制定。コミュニケーションメッセージである「おいしい瞬間を届けたい」を包含し、ニチレイらしい健康経営の目指すべき方向性を示している。


・表明方法

紙媒体(ニチレイグループ統合レポート、ニチレイグループ健康経営ガイドブック、健康通信)への掲載。HP、イントラネット(ニチレイグループ健康経営ポータルサイトやニチレイグループ掲示版)に情報掲載をする際に記載。ニチレイ健康推進センター開催のセミナーで、口頭にて周知。

 

・基本方針名称:ニチレイグループのがんアライ宣言

 

■ニチレイグループのがんアライ宣言文言

1.私たちは、がんに罹患しても働き続けられる社会であることを望んでいます。

2.従業員一人ひとりが、がんについて自分ごととして捉えられるよう、情報発信、セミナー開催、相談先周知に注力し、働きやすい職場づくりをめざします。

 

・概略

2023年10月にニチレイグループのがんアライ宣言を発出。ニチレイグループの従業員が、がんとともに働き続けられる環境をつくるために、共通文言(1)とニチレイグループで具体的に取り組むこと(2)を盛り込んだ内容を宣言。

 

・表明方法

紙媒体(治療と仕事の両立通信)への掲載、イントラネット(ニチレイグループ掲示版)に掲載。定期開催するニチレイ健康塾~治療と仕事の両立セミナーで、口頭にて周知。

 

【2】休暇制度

傷病・病気休職制度/失効有休休暇積立制度/半日単位の有給休暇取得/時間単位の有給休暇取得/その他の休暇制度  

 

※注記:持株会社制をとるニチレイグループでは事業会社により制度・規程の導入状況が異なります。り患者も含めた社員が広く使える休暇制度です。

 

■傷病・病気休職制度

勤続年数により休職期間を定めている。

 

■失効有給休暇積立制度

1年度につき8日を限度とし積立(積立日数の上限は80日間)。治療と仕事の両立支援目的で使用可能。

 

■半日単位の有給休暇取得

本人の保有する年次有給休暇の範囲内で取得可能。取得目的及び回数の制限はなし。

 

■時間単位の有給休暇取得

1年につき5日限度で取得可能。

 

■その他の休暇制度
活き生き休暇B:年度内に1日、ニチレイ労働組合の組合員に限り、本人または1親等以内の家族の療養および傷病時に使用可能。

 

【3】勤務制度

時差出勤制度/フレックス勤務制度/在宅勤務(テレワーク)制度/サテライトオフィス勤務制度/短時間勤務制度/試し出勤制度(復職前、業務は行わず一定期間継続して出勤する等の制度)/リハビリ出勤制度(復職後、休職前の勤務時間より短時間で勤務する等の制度)/カムバックに関する制度(離職した社員の再雇用に関する制度)

 

※注記:持株会社制をとるニチレイグループでは事業会社により制度・規程の導入状況が異なります。り患者も含めた社員が広く使える勤務制度です。

 

■時差出勤制度

早番・遅番といった業務開始時間をずらした勤務(それぞれの事業所で運用)。

 

■フレックス勤務制度

午前7時から午後10時の間で始業および終業時刻の選択が可能。

 

■在宅勤務(テレワーク)制度・サテライトオフィス制度

会社が定めた通信機器および通信手段等を利用した勤務場所に捉われない柔軟な働き方。 

 

■短時間勤務制限・試し出勤制度・リハビリ出勤制度

復帰・復職に際し、産業医の助言のもと、復職支援プランを作成する。職場復帰および復職後の就業上の配慮として、状況により行う。

 

■カムバックに関する制度

ニチレイグループでの勤務実績を有する人財の再雇用制度。

 

【4】支援体制

社員相談窓口の設置/保健師・産業医等の医療職の支援/外部支援サービス(EAP等)の活用/上司等との1on1、面談等の機会/人事担当者等との面談等の機会/主治医との書面上での情報連携/(休職を要さない場合)両立支援プランの策定・実行/休職中のフォロー/(休職した場合)職場復帰支援プランの策定・実行/復職後のフォロー/その他の支援体制

 

※注記:がんり患社員だけを支えるものでなく、社員を広く支える体制・仕組みです。

 

■保健師相談コーナー

従業員より気軽に相談できる場が欲しいとの声を受け、2021年11月よりオンラインで個別相談ができる保健師相談コーナーを月に1回実施。健康に関して気になること、心配なことについての相談が可能。

 

■保健師・産業医への相談

医学的見解(疾患特性、症状、治療方法等)を踏まえた仕事の継続についての相談が可能。

 

■外部支援サービス(EAP)の活用

ニチレイグループ掲示板やニチレイグループ健康経営ポータルサイト上で相談方法を周知。相談事例やニューズレターを月に1回掲載。

 

■上司との面談の機会

定期的な目標管理面談等に加えて、必要に応じて上司との面談が可能。

 

■人事担当者等との面談等の機会

必要に応じて、人事管理部門担当者への相談や面談が可能。

 

■主治医との書面上の情報連携

復帰・復職時に「治療の状況と就業継続の可否等について主治医の意見書・診断書」の提出を義務付けている。産業医面談や両立支援プランの作成の際に参考。

 

■(休職を要さない場合)両立支援プランの策定・実行

休職をせずに、治療と仕事を両立する場合に、産業医、保健師、人事管理部門、上長、本人相談の上、両立支援プランを作成し、必要に応じてプランの見直しを実施。

 

■休職中のフォロー

休職期間中は、り患者より人事管理部門とコンタクトを取り、通院状況・治療の経過等の共有。必要に応じて相談やサポートを実施。

 

■(休職した場合)職場復帰支援プランの策定・実行

復帰・復職の際に主治医に「治療の状況と就業継続の可否等について主治医の意見書・診断書」を依頼し作成をしてもらう。主治医から就業配慮に必要な情報の提供を受ける。働き方の方針決定に際し、保健師同席のもと産業医面談を実施。その後、産業医の意見に基づき、三者(本人、上長、人事管理部門)の話し合いを行う。復帰・復職の場合、両立支援プランを作成、必要に応じて見直しを実施。

 

■復帰・復職後のフォロー

状況に応じて、産業保健スタッフ(産業医・保健師)で対応方針を検討。産業医面談の実施や、保健師のメール発信や面談を通じ、治療状況の確認。必要に応じて人事管理部門や上長者と連携。

 

■その他の支援体制
・GLTD制度(傷病による長期療養時収入補償制度):ケガや病気で就業ができなくなった時に、長期間にわたって所得を補償する保険制度。

 

・厚生労働省が進めている「がん診療連携拠点病院」について、従業員のいる地域の拠点病院へアポイントをとり、取り組みについてヒアリングを実施。サポート体制や相談方法をまとめ、社内へ周知(2022年度~2023年度6月まで)。

 

【5】健康増進支援 

健康診断受診率増加に向けた取り組み/健康診断受診率100%達成/がん等の任意検診受診費用の補助/人間ドッグ費用の一部補助/再検査費用の一部補助/健康診断で「要検査」となった人のサポート/必要に応じた産業医・保健師の面談/定期的な産業医・保健師との面談/禁煙に関する取り組み/日常的な健康増進に関する取り組み(運動習慣獲得、食事管理、睡眠管理等)/健康増進イベントの開催/健康管理に関するアプリの配布/休憩室の整備/その他健康増進支援

 

■健康診断受診率100%達成に向けた取り組み

定期健康診断実施後に未受診者へ受診勧奨メールを送信し、受診を促すことで健康診断受診率100%を達成している。

 

■がん等の任意検診受診費用の補助

・ニチレイ健康保険組合による単独がん検診の費用補助。

・定期健康診断時に、ニチレイ健康保険組合費用負担による4つのがん検診項目(乳がん、胃がん、大腸がん、前立腺がん)の追加。

 

■人間ドック費用の一部補助

ニチレイ健康保険組合加入被保険者対象、年1回の人間ドック費用の一部(25,000円)補助(節目年齢:40、45、50、55、60歳は他の年齢よりも15,000円増額)。

 

■再検査費用の一部補助

ニチレイ健康保険組合加入被保険者対象、精密検査補助(年間上限10,000円)。

 

■健康診断で「要精密検査」となった人のサポート

フォローメール(自動配信)の送信や問合せ対応。

 

■定期的・必要に応じた産業医・保健師の面談

産業医面談(対面・オンライン)を受けることが可能。本社以外の事業所において各地域に保健師を配置。各事業所を訪問し、健康診断の事後措置面談や健康相談を実施。

 

■禁煙に関する取り組み

就業時間内禁煙、屋内喫煙室の廃止、受動喫煙対策eラーニングの実施。定期健康診断時のポピュレーションアプローチで受動喫煙対策のポスターを作成し事業所への送付。希望者への卒煙プログラムへの提供や受動喫煙セミナーの開催。

 

■日常的な健康増進に関する取り組み

本社食堂委託会社とコラボレーションをし、健康に関する取り組みの実施(例:穴あきレンゲの提供、ヘルシーメニュー提供等)。

 

■健康増進イベント

健康に関する様々なテーマでオンラインセミナーを開催(年間50回程度)し、全国どこからでも参加が可能。一部、リアル開催もあり。

※テーマ:血圧、脂質、血糖、睡眠、歯の健康、筋肉体操、女性の健康(月経、更年期)、メンタルヘルス(セルフケア、ラインケア~基本編、実践編)

 

■健康管理に関するアプリの配布

ニチレイ健康保険組合より、健康維持・増進を支援するWeb・アプリサービス『KENPOS』を提供。歩数、体重、血圧、睡眠等の健康活動の記録が可能。

 

■その他健康増進支援

運動をするきっかけ作りや健康状態の改善と、風通しの良い職場づくりを目的に、みんなでエクササイズキャンペーン(運動に関する動画や写真の投稿募集)を実施(2022年8月より、1回/年)。社長賞選出作品は、健康支援商品券を贈呈。

 

【6】その他の制度・体制

■面談室の設置:健康に関する相談を受けられるようニチレイ健康推進センター内に面談室(2部屋)を設置。

 

■各事業会社の人事管理部門の方と年1回の情報提供とヒアリングの場を設定。2022年度施策実施状況や保健師のり患者ヒアリングの共有や現場で苦慮していること、改善事項を聞く場。

 

働く人を支える風土、環境

 

【1】啓発、研修

社員向けのがんに関する研修/上長・管理職向けの両立支援に関する研修/女性向けのがんに関する研修/がんに関するe-ラーニングコンテンツの提供/罹患者の体験談を聞く機会の提供

 

■がんに関するセミナー開催

2021年度までは、り患者の体験を共有する場だったが、参加者のアンケート(感想・意見)を受けてテーマを拡大(年間3~4回)。2022年7月に保険会社の方からがんに関するお金や保険について、2022年10月に産業医による最新のがん治療や早期発見の重要性について、2023年8月にがんと働く応援団の方を講師に、知って備える(がん防災)をテーマに1時間のセミナーを開催。

 

その他、著名人を招いての講演(2023年2月に原千晶さん、2023年5月に中川恵一先生)も実施。従業員のがんに対する情報提供と自分事としてとらえてもらうきっかけ作り。

 

■上長・管理職向けの両立支援に関するセミナー

取締役会参加メンバーに向けて中川恵一先生によるがんセミナーを開催予定(2024年2月6日)。

 

■女性向けのがんに関するセミナー

産婦人科医の宋美玄先生を講師に女性向けのがん検診の重要性に関するセミナーを開催(2018、2021、2023年度実施)。

 

■治療と仕事の両立支援のeラーニングの実施

がんや治療と仕事の両立支援に関する設問、相談先等の周知など。年1回実施。2022年度受講率:約90%

 

■り患者の体験談を聞く機会の提供

治療と仕事の両立セミナー複数回開催のうち年1回は、がん患者の気持ちに寄り添う、声を聞く機会として、り患者体験を伝えるセミナーを開催。

 

【2】情報発信

イントラネット、社内ポータルサイト等での情報発信/両立支援に関するハンドブック・ガイドブックの配布/罹患者の体験談を見られる機会の提供/その他情報発信

 

■イントラネット、社内ポータルサイトでの情報発信

「健康通信」にて、治療と仕事の両立支援についての取り組みやイベント等を紹介(年間2~3回掲載)。※健康通信:健康づくりに必要な知識や情報を定期的に発信(月に1回発信)、A4サイズ1~2枚、ニチレイ健康保険組合とコラボレーション。

 

■両立支援に関するガイドブックの掲示

ニチレイグループ掲示板「治療と仕事の両立支援」コーナーで、治療と仕事の両立支援ガイドブックやフローを掲載。

 

■り患者の体験談を発信

「治療と仕事の両立通信」にて、り患者の体験談や声、がんに関連する情報(がん検診)や保健師からのコメント等を掲載。

※治療と仕事の両立通信:職場風土の醸成を目的に3ヶ月に1回イントラネットで情報発信、A4サイズ1枚。

 

■その他の情報発信

がん対策推進企業アクションの情報(ニューズレター、Youtube)の発信。がんを自分事として、正しく知ることで職場環境をより良くしていくことを目的に、みんなで学ぼう「大人のがん教育」を、毎月1回発信。

 

【3】コミュニティ

がん罹患者・経験者同士のコミュニティ

 

■がんり患者の座談会開催(2022年度実施)

コロナ禍のため、オンライン開催。ニチレイグループ内のがんり患者が集まり、活用している会社の制度の内容や一人一人の想いやニーズを共有しあう場。

 

【4】対外的な活動

がんに関する社会的な活動への参加 

 

■がんに関する社会的な活動への参加

がん対策推進企業アクションの令和4年度がん対策推進優良企業表彰。

 

【5】その他の風土・環境

■ニチレイグループ健康経営ポータルサイトに「みんなのつぶやき部屋」を開設

ご自身や家族の病気・治療のこと、不安な気持ちや今伝えたいこと、誰かに話したいことを言葉で綴ってもらう場の提供(フォームズへの記入)。つぶやきは記名、匿名を問わない。つぶやきは治療と仕事の両立支援の施策へ繋げる。定期発信している「治療と仕事の両立通信」に掲載し、保健師からのメッセージや会社の制度を紹介し、職場風土づくりや相互理解促進に活用。

 

■保健師の職場訪問

各事業所へ直接保健師が出向くことで、人事管理部門から、り患者への対応相談ならびに本人から相談を受ける機会が増加。対面で話すことで、新たな相談や継続的なサポートに繋がり、支援が可能となった。

 

エピソード・思い

 

■セミナー開催当初は20名程度の参加者だったが、テーマを拡げ、回を重ねることで、リピーターの方が増えてきた。参加者もリピーターと初めての方半々となった。今年度開催のセミナーは2回開催済。参加者は前年度より増加傾向。

 

■セミナーの回数を重ねることで、り患者の上長から、本人のためになるからと過去のセミナーの視聴希望や資料の提供希望も増えた。

 

■り患者の座談会に参加した従業員の方から、体調がよくなったとの報告があった。2人に1人ががんにかかる今、自分はがんにかからない方に入ると思っていたという声を聞いた。会社の健診から精密検査受診へ繋がったことへの感謝の声を受けて、対応していた保健師ともども手ごたえを感じた。

 

【1】がんと就労の取り組みを始めたきっかけ

2017年度に策定した働き方改革の方針の中で、「多様な働き方の実現」を掲げ、育児、介護やり患等、従業員の様々な状況により、キャリアの分断が起こらない仕組みの構築をめざした。持株会社の人事総務部(現人事部)ニチレイ健康推進センターが治療と仕事の両立支援の推進の役割を担った。

 

【2】他社の担当者への応援メッセージ

自社に合った取り組み、職場風土づくりが大切だと思います。一緒に頑張りましょう!

 

講評・コメント

 

がんに関するセミナーのテーマ拡大や、ポータルサイトに「みんなのつぶやき部屋」を開設されるなど、働く人を支える風土・環境づくりを進められています。

 

特に「みんなのつぶやき部屋」に集まってくるつぶやきは、今後の治療と就労の両立支援施策を立案・推進していく上で大変重要な要素になると思います。取り組みをさらにすすめ、貴社ならではの取り組みの積み重ねがなされていくこと期待しております。

 

※上記オレンジ色の枠内の項目は、がんアライアワード2023応募シートでチェックいただいた項目と同一のものです。

 

>>「がんアライアワード2023」受賞企業一覧はこちら

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