【がんアライアワード2023シルバー】野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティング株式会社の「がんと就労」施策 - がんアライ部
がんアライアワード2023に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。
シルバー受賞:野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティング株式会社
業種:金融サービス
従業員数:107名(2023年10月1日現在)
働く人を支える制度・ 体制
【1】がんと就労に関して、あるいは社員の健康や安全に関する基本方針等の表明
■健康経営宣言
2016年に経営会議での承認のもと、「NOMURA健康経営宣言」をリリース。社内イントラサイト、社外自社サイトに掲載している。
野村グループの最大の財産は、人材です。社員一人ひとりが自らのもつ能力や個性を十分に発揮し、活躍するためには、心身ともに健康であることが重要です。この理念のもと、野村グループは社員の健康保持・増進を経営的な視点でとらえ、主体的に取り組んでいきます。
■がんアライ宣言
がんアライアワード2023応募に際し、全社員に周知。
【2】休暇制度
■傷病休暇制度
年次有給休暇とは別に、勤続年数に応じて最大50日の傷病休暇を付与。業務外の傷病により就業できない時は、1 日又は半日を単位として取得することができる。
■傷病休職制度
社員が傷病により3か 月以上欠勤するときは、勤続年数に応じて最大1年6か月以内の休職が可能。
■半日・時間単位の有給取得
年次有給休暇を1日、半日又は1時間を単位として取得可能。1時間を単位とする場合は5日を限度とする。
■その他の休暇制度
人間ドック休暇、二次検査休暇。
【3】勤務制度
■調整出勤制度(時差出勤制度)
2023年10月より各人の事情に応じて部室店長が認めた場合、柔軟に始業時刻の繰り上げ、繰り下げを行う調整出勤制度を導入。
■在宅勤務制度
部室店長が認めた社員については、月の所定労働日数の8割を上限(※上限拡大、2022年12月より)として在宅勤務が可能。傷病など、やむを得ない事情があるとして経営企画部長が認めた場合は、上限日数を超えて在宅勤務が可能。
■復職後の短縮勤務制度
休職の事由が傷病による場合、医師の診断に基づき最長6か月にわたり勤務時間を短縮可能。
【4】支援体制
■社員相談窓口、保健師の支援
当社社員が加入する野村證券健康保険組合が、従業員の健康管理をサポートする「健保ヘルスケアセンター」を運営。会社ごとに担当保健師が常駐。電話、メールでの相談や面談も可能。
■外部医療機関との連携
必要に応じて産業医を通じて外部医療機関と連携。
■外部支援サービス(EAP等)
セカンドオピニオンや専門医療機関への紹介・受診手配のサービスを提供。
■上司等との1on1、人事担当者等との面談等の機会
定期的に社員と上司、また社員と人事がそれぞれ1対1でコミュニケーションを取る機会があり、業務に関すること以外にもキャリアやプライベートに関することを相談可能。全社員を対象に「心理的安全性」に関する研修を行い、誰もが気兼ねなく自分の状況や意見を言える職場づくりを推進している。
■主治医との書面上での情報連携
必要に応じて産業医より主治医に情報照会を行い、主治医の意見を元に産業医意見を会社に提出する。
■両立支援プラン、職場復帰支援プラン
休職を要さない場合の両立支援ガイドブック、休職する場合の療養上の注意点と職場復帰に関するご案内を用意し、一人ひとりに合った支援プランを策定する。
■健保組合の高額療養費制度
医療費の自己負担額が約25,000円/月に抑えられるため、経済的な心配をせずに治療に専念できる。
【5】健康増進支援
■健康診断受診率増加に向けた取り組みと費用補助
30歳以上の社員は人間ドックを健康診断の代替としており、受診率増加のため、1.人間ドック早期受診者にポイントを付与、2.人間ドック受診時には有給の「人間ドック休暇」を利用可能、3. 人事担当者からのメールや電話による勧奨を実施している。
■がん等の任意検診受診費用の補助・人間ドック費用の全額補助
人間ドックの検査項目には胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮がん、前立腺がん検査が含まれ、全額健康保険組合が補助。子宮頸がんは全女性社員に全額補助。
■健康診断で「要検査」となった人のサポート
健康診断・人間ドックで二次検査が必要になった社員へ受診勧奨を実施。また、がん検診項目で要精密検査となった社員へは健康保険組合とのコラボヘルスにより受診勧奨を実施しており、それぞれ二次検査・精密検査受診時は、有給の二次検査休暇を利用可能。
■必要に応じた産業医・保健師の面談
健康診断事後措置において、必要に応じて産業医・保健師が本人と面談を実施。
■喫煙に関する取り組み
望まない受動喫煙の防止と社員の疾病予防のため2021年10月より就業時間内禁煙を導入。同時に健康保険組合がオンライン禁煙プログラムの費用補助や、禁煙に成功した社員へポイントインセンティブを付与するサポートを実施。社内喫煙所は2021年12月末を以てすべて廃止した。
■日常的な健康増進に関する取り組み(運動習慣獲得、食事管理、睡眠管理等)
1. 社員の健康増進のため、部署ごとの平均歩数を競うオンラインのウォーキングイベント「ノム☆チャレ」を毎年実施。歩数や写真を全社員で共有し、「いいね!」やコメントの投稿で応援し合うことで、社員のコミュニケーション向上や運動習慣の定着につなげている。同時に参加者の歩行距離に応じた金額の寄付を行っており、2022年度は「認定特定非営利活動法人キッズドア(NPO Kidsdoor)」に寄付。社員個人への健康増進のみならず、寄付という形での社会貢献につなげている。
2. 管理栄養士による「食事による生活習慣予防」「アルコールのおつまみの選び方(肝臓の負担の減らし方、機能正常化促進)」「時間栄養学」に関する動画を提供。健康プラットフォーム「WellGo」に食事や間食、飲酒状況を入力できる機能を活用し、入力した社員にインセンティブポイントを付与している。
■健康増進イベントの開催
セントラルスポーツ・avivo・メガロスのインストラクターによる「健康増進セミナー」を健康保険組合が提供。肩こり、睡眠などのテーマを部署が選択し最大3回実施可能。
■健康管理に関するアプリの配布
健康経営プラットフォーム「WellGo」を導入。健康診断結果や医療費、歩数や食事記録などの健康データの見える化機能や、eラーニングや健康クイズ配信によるヘルスリテラシー向上機能などを各自活用している。またイベント機能を利用してウォーキングイベントを開催することにより社員同士がSNSのように投稿し合うことによってコミュニケーション活性化にもつながっている。
■休憩室の整備
事業所内に男女別の休憩室を整備。
働く人を支える風土、環境
【1】啓発、研修
■社員向けのがんに関する研修・上長・管理職向けの両立支援に関する研修
がんや両立支援を含む複数の研修プログラムや健康意識調査を実施。
・Well-being研修
男女それぞれの健康について正しい知識を持つことの重要性について理解し、共に支え合える環境を整備することにより、社員のWell-being向上と人材の確保を図る。
・メンタルヘルス研修
メンタルヘルスについての基本を学ぶことで、自らのストレスに気付き予防対処できるようになる。
・健康意識調査
1. 社員の健康に関する意識、生活習慣の傾向を分析、2.会社の健康づくりのための取り組みに対する評価、意向を把握・分析し、有効な施策を立案。
■上長・管理職向けの両立支援に関する研修
新任管理職研修において、復帰フローと両立支援ガイドブックに関する情報を提供
■女性向けのがんに関する研修・がんに関するe-ラーニングコンテンツの提供
1. 女性自身や周囲のリテラシー向上のため、性別を限らず全従業員を対象に女性の健康に関する研修を実施。CHRO兼CHOとCradle代表取締役スプツニ子!氏による「企業が女性の健康に取り組む意義」の対談や「月経」「子宮頸がん」「更年期」「男性の更年期」の動画を視聴してリテラシーを身につけることで、男女それぞれが必要な時に対処しお互いを思いやれる環境を整備している。
2. 2020年度よりこれまで30歳以上としていた子宮頸がん検診を20代女性も対象に追加。イントラサイトに検査受診のポイントや精密検査を指摘された場合のその後の流れについて掲載。
■罹患者の体験談を聞く機会の提供
2023年9月、がんに罹患した従業員の座談会を初めて開催。実名・匿名を本人が選択できるようにし、これまでの経験や両立しやすい職場環境を作るためのディスカッションを行った。初めての試みだったが9名参加し、事後アンケートで満足度は87.5%となっており、継続的な開催を望む声が多数だった。
【2】情報発信
■イントラネット、社内ポータルサイト等での情報発信
がんなどの治療と仕事の両立支援のため2018年4月に「NOMURAの健康サポートプラン」を策定。会社として治療と仕事の両立を支援する姿勢を社内に発信。
■メルマガ等での情報発信
全社員向けに医療職が月に一度配信している「健康相談室たより」において、二次検査の重要性や喫煙のリスクについて啓発
■両立支援に関するハンドブック・ガイドブックの配布
社員と上司向けの「治療と仕事の両立支援ガイドブック(本人編、上司編)」をイントラに掲載し、がんなどの病気により治療を続けながら仕事をする社員が安心して仕事と治療を継続することができるよう、本人のみならず上司の対応方法なども周知している。
■患者の体験談を見られる機会の提供
2018年から治療と仕事を両立している社員の体験談を「キラッとNOMURA Life~私の体験談~」としてイントラに掲載。これまでに12名の体験談を掲載し、匿名・写真なしで可としているが、体験談を読んだサバイバーから徐々に実名・写真入りでの掲載希望が増えている。また、体験談を掲載した社員へ個別に相談したり、体験談を読んでがん検診の重要性を認識した社員が体験談を社内に拡散するなど、社員発の動きが増えてきている。
【3】コミュニティ
■がん罹患者・経験者同士のコミュニティ
国内の野村グループに在籍する社員でがんの診断を受けたことがある方の座談会を開催。実名・匿名を本人が選択できるようにし、これまでの経験や両立しやすい職場環境を作るためのディスカッションを行った。初めての試みだったが9名参加し、事後アンケートで満足度は87.5%となっており、継続的な開催を望む声が多数だった。
■その他のコミュニティ
DEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の観点で、社員が自主的に運営する社員ネットワークが3つある。L&F(ライフ&ファミリー)、WIN(ウーマン・イン・ノムラ)、ALLIES(アライズ・イン・ノムラ)、それぞれのネットワークでは活動に賛同する役員がスポンサーとして2名ずつサポートし、社内外から講師を招いての講演会、展示などの啓発イベント、外部協賛など、様々なイベントをネットワークメンバーが自発的に企画・運営している。
【4】対外的な活動
■民間団体等への参画
当社は2022年10月まで、社員はすべて野村證券および野村アセットマネジメントからの出向者で構成されていたため、それまでは出向社員は各自、出向元の活動に参画していた。2022年11月からプロパー社員の受け入れを開始したことにより、2023年からは当社としてがんアライ宣言およびがんアライアワードへの応募を行うこととした。
【4】その他の風土・環境
■野村グループでは、2016年7月に「NOMURA健康経営宣言」を採択し、健康保持・増進に向けた取り組みを推進し、がんなどの治療と仕事の両立支援については、2018年4月に「NOMURAの健康サポートプラン」を策定し、衛生委員会や野村グループのイントラネットなどを通じて、治療と仕事の両立の支援について社内に情報発信している。
■在宅勤務や勤務開始/終了時間の変更、時間単位の有給取得などの人事制度も整備されており、社員一人ひとりの体調や様々な事情を考慮した柔軟な働き方をサポートしている。
■社員と上司の1対1のコミュニケーションも定期的に実施しており、業務内容以外にも、健康面やその他の個人的な事情などについても話ができる機会を設けている。
エピソード・思い
【1】がんと就労の取り組みを始めたきっかけ
従来から野村グループとしては治療と仕事の両立について取り組んでいたことに加え、実際に当社内でも、病気やケガのために治療と仕事を両立する社員が複数名いたことから、こうした取り組みの重要性を改めて認識した。本人や上司だけでなく、その周りの社員、今健康な社員、会社全体で治療と仕事の両立についての理解を高め、誰もが安心して相談し、また相互にサポートできる職場環境づくりを推進したいと考えている。
2021年に始まった社員の意識変化はその後も広がりをみせています。がんに罹患した場合の相談や、両立支援に関する制度などに関心を持つ社員が増えました。小さな関心からはじまり理解へ、理解から相談や初動といった行動にも変化が起こっています。こうした変化は最初から意図していたことではなく、活動を継続する中で徐々に芽生えたものです。
【2】他社の担当者への応援メッセージ
がんアライの輪を社内・社外・業界問わず広げていけるよう、一緒に取り組ませていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
講評・コメント
今期はじめてアワードに応募くださいました。初年度ながら、社内の多くの方を巻き込み、歩みを進められていることが写真からも伝わってきます。
部室店長権限で調整出勤制度や在宅勤務制度の利用を認めるなど、柔軟な働き方を受け入れられるようにされています。野村グループとしての様々な取り組みにも参加されており、グループシナジーを活かしながら、今後のさらなる取り組みの推進を期待しています。
※上記オレンジ色の枠内の項目は、がんアライアワード2023応募シートでチェックいただいた項目と同一のものです。