活動レポート

「がん共生プログラム」を通じてポーラで働く仲間と向き合えることが、何よりの財産【がんアライアワード2019ゴールド受賞・ポーラ】 - がんアライ部

「がん共生プログラム」を通じてポーラで働く仲間と向き合えることが、何よりの財産【がんアライアワード2019ゴールド受賞・ポーラ】 - がんアライ部

10月29日、がんアライアワード2019表彰式を開催しました。当日は受賞企業37社の中から、3社が代表講演を実施。本記事ではゴールドを受賞した株式会社ポーラの発表内容をご紹介します。

「今回ご紹介する『がん共生プログラム』は2018年からスタートしました。人事や健保組合だけがやればいいというものではないですから、経営企画部が主導して関連各部を巻き込み、全社的な活動として行なっています」

 

▲株式会社ポーラ 取締役執行役員 人事・経営企画・情報システム・経理担当 髙谷 誠一さん

 

化粧品の製造・販売を手がけるポーラには、社員約1600人の他、個人事業主のビューティーディレクターが全国に約4万6000人いるのが大きな特徴です。「がん共生プログラム」導入の背景にも、ビューティーディレクターの存在がありました。

 

「自ら、がん罹患者を対象にハンドトリートメントなどのボランティア活動に取り組んでいる、余命宣告を受けたビューティーディレクターがいました。その姿に社長の横手が共感したことが、がんへの取り組みを行う大きなきっかけとなっています」

 

さらにビューティーディレクターはほとんどが女性であり、社員も約75%が女性。就労年齢でがんに罹患するリスクは男性よりも女性の方が高く、さらに生涯現役のビューティーディレクターが多くいること、働き方改革の一環として定年再雇用者の年齢制限を原則的に撤廃したことも、取り組みの後押しとなりました。

 

「親、子、孫の3世代にわたるビューティーディレクターもいます。また、今年の10月には安定して売り上げを出している99歳のビューティーディレクターが、世界最高齢の美容部員としてギネス認定されました。当社は個性や多様性を大切にし、多様な人とつながることで成り立っている会社ですので、一人一人を尊重するための取り組みの一環として『がん共生プログラム』を導入しています」

 

同社の「がん共生プログラム」は3つのテーマを掲げています。

 

・がんに対する理解を深める

「がんが身近なものであることを理解し、早期発見や治療環境、本人や家族の悩み、心構えなどをあらかじめ学んでおくことで、慌てずにいられるのではと考えています」

 

・安心してがんに向き合う

「一人一人がかけがえのない存在として認め合い、その上で『何ができるのか』を考える。同時に不安要素を減らし、心のケアができるような制度をつくることで、少しでも安心して治療や看護に向き合っていただきたいと思っています」

 

・経験を大切に学ぶ

「がんと向き合った経験は貴重なものです。そうした経験を共有し合える風土を醸成し、さらに社会全体にも広くお伝えしていきたいと考えています」

 

こうした考え方を社内に浸透させるために、「がん共生プログラム」についてまとめたブックレットを従業員および、ビューティーディレクターに配布。治療と就労の両立のための制度と共に、がんに罹患した経験のあるビューティーディレクターや社員の方のインタビューも掲載されています。優秀なビューティーディレクターを表彰する年2回の式典でも本プログラムについて発信することで、「共感のメッセージをたくさんいただいている」と髙谷さん。

 

 

「他にイントラサイトでも、がん経験者の声を発信しています。私自身、大事な会議で居眠りをしていた社員に批判的な目を向けてしまったことがあるのですが、実は抗がん剤治療の副作用によるものだった、ということがありました。理解が足りないゆえに間違った認識を持ってしまっていたわけです。正しい理解を促すためにも、経験者の声を社内に知らせることは重要だと思っています」

 

制度については、「がんに罹患した人のため」ではなく、「多様な働き方改革を進める」という観点で整備。フレックスタイム制やリモートワークの推進の他、時間単位で有給を取得できるように仕組みを整えたり、傷病短時間勤務制度や傷病退職後最大2年以内であれば再入社できる制度を用意したりしています。

 

 

「制度を整えたからといって、利用者が劇的に増えたわけではありません。ただ、こうした制度を整備しておくこと、そしてそれを広めてくことが、環境づくりにおいては重要です。『何かあったら人事や上司に相談してみよう』という機運が生まれることが、何よりも大切だと思っています」

 

個人事業主のビューティーディレクターに対しても、働き方に応じて以下のサポート制度を用意しています。

 

  • がん検診補助
  • 組織を束ねるグランドオーナーに対する総合健診の費用負担
  • ビューティーディレクター資格、責任者手当保証制度
  • がん治療応援金
  • アピアランス手当
  • 復職祝い制度

 

「ビューティーディレクターはビジネスの規模に応じて資格や手当が決まるのですが、仕事ができない期間があってもステータスを下げず、元のステータスを維持することを保証しています。他に治療の応援や復帰後のアピアランスケア、復職祝いなど、個々の金額は大きなものではありませんが、細かくサポート制度を設けております」

 

こうしたがんへの取り組みを社会全体に広げることを目的に、地域や社会との共生活動も実施。

 

「『がん共生プログラム』をスタートするきっかけになったビューティーディレクターがハンドトリートメントの活動をしている東北ろうさい病院の緩和ケア週間の活動にPOLAとして参加するなど、各地域の医療機関の方々と一緒にイベントをする機会も増えてきました」

 

「他にボランティア活動として、がん罹患者の方やご家族を支援し、地域全体でがんと向き合うことを目的に活動している『リレー・フォー・ライフ』に2019年からナショナルスポンサーとして参加しています。今年は全国20か所以上で、各地のビューティーディレクターと社員が一緒にブース運営やサポートに取り組みました」

 

「当社の取り組みの一つ一つは小さなことであり、細かな活動の積み重ねによって『ポーラという会社の価値』を高めている最中です。大きな会社だからできるということではありませんので、ぜひ皆さんにもできるところから始めていただきたいと思っています。

 

私自身、こういった取り組みを始めるまでは、当社の社員にがん罹患者がいることも、それによる不調や困りごとがあることも知りませんでした。本当に学ぶことは多いですし、『がん共生プログラム』や制度を整えることでポーラで働く仲間と向き合い、対話ができるということが、会社にとって何よりの財産だと実感しています」

 

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