【がんアライアワード2021 ゴールド】朝日航洋株式会社の「がんと就労」施策 - がんアライ部
がんアライアワード2021に寄せられた、各社の「がんと就労」への取り組みをご紹介します。
ゴールド受賞:朝日航洋株式会社
事業内容:航空運送事業/測量コンサルタント事業
従業員数:1,250人
ウェブサイト:https://www.aeroasahi.co.jp/
取り組みのきっかけやエピソード
・罹患した社員が、社内制度の周知不足や上長が休暇取得方法を把握していない、また「がんになった噂」が正しい知識ではないという経験から、復職後に人事部宛に「がん治療と就労についての提言」をまとめ提出し、社全体として取り組む必要性を提案した。その結果、私傷病と仕事の両立について正式な委員会が発足し、社内での教育や傷病データ収集、復職プログラムの構築等を定期的に会議開催し取り組んでいる。
・このような委員会を設置し「がん罹患者をオープン」にすることにより「隠れがん患者」が相談に来るようになった。この取り組みは社外にも少しずつ知られるようになり、他社のがん患者からも相談がある(同じように取り組みたい、復職のために会社に対してどのように話をするか等)。
・全国小中高生向けのがん教育の教材DVDの「就労との両立」について出演/収録にも協力しており、(次年度からがん対策基本法に則りがん教育をするための文科省推薦教材)これを機に若い学生にも何かしらのメッセージを送る機会を作れたら、と考えている。
・社内教育を継続した結果、新たに協力したいという社内罹患者が増えた。上皮がん以外にも血液がんや女性特有のがん経験者など幅広く協力して頂いている。
・他社や他機関が作成したハンドブック等を入手し配布。それにより部下への寄り添い方等考え方浸透。
⇒一般社団法人がんと働く応援団の冊子【がん防災】に協賛し、がん・病気への備えを広く周知することに役立てられている。
【上記とは別に…】
・キャンサーX、保健福祉大学、自治体労働部局等から講演/教育依頼あり就労と両立について多数対応。
・「かながわ治療と仕事の両立推進企業」に県知事より認定され最高賞であるプラチナ受賞。
・がん対策を含む全体の健康対策を講じた結果、経済産業省と日本健康会議が共同で選ぶ「健康経営優良法人2021(大規模法人部門)」に認定(2020年から連続)
・厚生労働省委託事業がん対策推進企業アクションにおける新たな取り組み「コンソーシアム40」に招聘参画。
風土づくり
◆全体的な社内働き方改革委員会の中に「私傷病の治療と仕事の両立支援分科会」を設置し、総合的な相談窓口/休暇の取得方法/治療に関わる情報提供等を全社的にバックアップしている
⇒分科会メンバー全員両立支援コーディネーター養成研修(独立行政法人労働者健康安全機構)受講済
◆社内向けのハンドブックを作成し「すぐに辞めない、辞めさせない」をスローガンにしている
◆両立に不可欠な「正しいがん知識」を周知するために罹患者による「がん教育」と人事担当者による「社内制度(休暇・給付金等)」をセットにした教育を全国社員に開催している
⇒新入社員研修や社内研修を定期的に開催することが根付いた。また適宜eラーニング、イントラネット上での情報提供、アンケート集計等を実施している。
◆失効有給休暇積立制度の改善:失効した有給を最大60日(有給を含めると100日)傷病に限り利用できる制度について、今までは有給を使い切ったところから利用可能であった。しかし、罹患者にも生活に関する休暇が必要であるため、5日を残したところから利用可能とし、傷病ではない行事等での休暇に充てられるよう改善した
相談できる環境づくり
◆罹患時に先述した相談窓口に問い合わせることによって、本人の情報展開に留意しながら治療及び休暇等の相談をすることができる
◆治療を終え復職する際は、当社オリジナルの*「仕事をする上での注意事項」を罹患者に記載してもらい、罹患者/罹患者上司/人事部/産業医にて面談し復職スケジュールを決めている。
*6週間以上休務する場合は医師の診断書(又は医師の意見書)が必要。しかし診断書の作成費用や期間等がり患者にとって煩わしいことがあるため、6週間未満のケースは、主治医や薬剤師等医療従事者から受けた「何が出来て、何に注意し、時間外や出張等可能か」などをその注意点に記載。それをもって判断材料としている
制度・配慮
◆先述【風土づくり】のとおりの失効有給休暇積立制度
◆サテライト勤務、時差/時短勤務
◆そのほかに、制度にはないが部門長の裁量によって柔軟に罹患者の就労について対応している
◆新たに健康増進手当を支給。条件として定期健康診断や再検査受診実績等が必要であり、その設定により各自の健康状態把握等の啓蒙に繋げている。
◆女性の乳がん/子宮頸がん受診率を上げる為、女性社員の検診車受診から、半日業務扱いで病院受診に切り替え、健康診断と同日に女性のがん検診を受診できるようにした結果検診者アップ率 乳がん38.9%、子宮がん22%と向上
講評・コメント
・社内教育を継続した結果として、新たに協力したいという社内罹患者が増えるなど、罹患者にとって働きやすい風土・環境・精度づくりが促進されていることが伝わってきます。
・キャンサーX、保健福祉大学、自治体労働局等からの講演依頼に対応されるなど、自社だけにとどまらない活動を続けられています。